もういちど始めること

もしかして、本当に気が乗らない今このときしか無いんじゃないだろうか?

自作の動画の話:いんゆめを禁止にして料理を作ってバトルしてみた

2023年の末に動画を投稿した。

www.nicovideo.jp

うわぁ、なんだこの動画は、たまげたなあ……

経緯や動画を作るまで

拒むことを知らない

2023/10月の末頃に、例によってボイキチ会の奇覚企画オバケりょの字さんに声をかけられた。

イカロ「『いんゆめ禁止』は普通に意味がわからないですが何するつもりなんですか……?」
りょの字「動画に淫夢要素を入れてはいけない 以上」
イカロ「あまりに縛りがキツすぎるだろ」

誘われたタイミングは、ぼすきー絡みやらリアル業務その他でかなり忙しかったのだが、年末には捻じ込めそうなのと、投稿者として復帰したいと強く意識していた時期だったこと、何よりめちゃくちゃ面白そうなのでやってみたいと思ってOKした。

開催経緯


再見さんが適当こいたのを聞いたりょの字さんが面白そうだからとマジで実現に動いたという経緯のようだった。
確かにシャルニキが語録封じてたら面白そうだし*1
汎用さんもアクロさんも淫夢厨だし、ヤシャグサさんは完全に淫夢動画を投稿していた人なのでガチだ。*2

これでなんで私に声がかかったんですかね……????*3
確かに私は例のアレぼちぼち見てるけど普段の動画でも会話でもさほど使ってないと思うが……

使うなよ、絶対使うなよ!

いんゆめ禁止と言い条、これは事実上"No means Yes"である。
「私は政治に興味がありません」と宣言する行為自体が逆説的に政治的な含意を持つのと同様、わざわざ禁止と掲げるという事は完全なる無関係・ニュートラルな状態とは異なったムーブが求められるということだ。
りょの字さんからは「淫夢語録を使ってはいけない」というレギュレーション以外の細かな話について特に明言されなかったものの、私はこの企画を「直球の淫夢要素を使わず言い訳を用意出来る状態をキープしながら濃厚に淫夢っぽさを匂わせるギリギリを攻め続ける遊びをやろう」というお誘いであると勝手に解釈した。

しかしながら、結局、全く淫夢に触れずに話題を組み立てる事は非常に難しかったので「登場する2人は淫夢の事を全く知らず、中途半端に調べて誤った認識を披露する」というパワー系すっとぼけ路線となった。

例のアレとかいう異常コンテンツ

淫夢に限らず、例のアレというのは邪悪な界隈で、権利的・倫理的にどう考えてもアウト寄りの素材やネタが渦巻いている。
もちろん例のアレに限らず、音MAD・アニメやゲームのネタ・実況も多くは権利的に怪しいものが含まれる*4ので、ニコニコ全体を通して薄っすらそういう傾向はあったのだが、例のアレは特にその中でも濃縮されたアウトっぷりと汚らしさを誇る。
私自身は普段の動画には「わかる人にはわかる」程度しか取り入れないが、それなりに淫夢厨である。自分でもどうかと思うし積極的に公言はしないが、こういう突き抜けた下ネタや倫理のタガが外れた邪悪なネタでどうしても笑ってしまう性格なのである。ユーモアとは異常の検知に伴う知的快感だ。まともなら絶対に言わない下品なネタ、悪辣なネタは「正常で望ましいとされている道から極端に外れている」事それ自体に面白みがあり、笑いを生む。そして異常でありながら聴き心地の良いジャーゴンが「語録」として残る。聴き心地の良さは身体感覚的、音韻・韻律的な快感だ。淫夢語録に限らず、ネットスラングには知的快感と韻律的快感の両方を刺激するものが多い。

何でもかんでも淫夢に寄せて語録を無理やり雑に使っている人(いわゆる「ホモガキ」)は忌み嫌われる。当然だ。知的刺激が面白みの根幹の1つにあるのに、それを解さず身体感覚的な快感だけを求めるようでは「わかってない奴」として一蹴されても仕方があるまい。それが音韻を伝えにくい文字情報のコミュニケーションであればなおの事である。
語録を楽しむためには「言葉遊びとして語録を上手く使う」という歪みねえ知的営みが求められ、また、異常な表現が異常である事を味わえる程度には「正常」な感覚を頭のどこかに指針として残しておく必要がある。もちろん本物の完全な異常者には特有の迫力があるものの、正常を参照しない純粋な狂気はコントローラブルなユーモアたりえない。

だからこそ私は、基本的には邪悪なものを好きであるにも関わらず、例えば特定個人の悪口を吐いたり女性にセクハラしたりみたいなのは苦手だったりもする。これは別に私が倫理的に立派というわけではなく、あまりに正常な欲望なので予想の範疇を超えないからつまらないと感じてしまうのだ。嫌いな奴の悪口を共有して結束を固めるというのは社会動物的として正常で凡俗すぎるし、単純な性欲についても然りだ。そういう下品さは単に不快であり、笑える表現にしたいなら何かしら異常でなくてはならない。欲望を作品たらしめるには誰でも持っているような凡俗な欲では足らず、迫力のある渇望や、驚きを生む何かおかしな点が含まれている事が望ましい。

あと他人に攻撃的かどうかも結構大事だ。圧倒的なキレや邪悪さがあれば悪口や罵倒も笑えるが、やはり直接的には他人に迷惑をかけない安全な異常者の方が安心して笑える。私はこれを目指している。見世物コアラだ。そのためには「異常とは何か」だけでなく「正常とは何か」を真剣に考えておく必要があるのだ。異常を掴むのではなく、正常を掴んだ上で外しにいく形の方が技巧としての普遍性や防御力がある。防御力に自信があれば攻めていく事も出来る。

何の話だっけ?

創作と異常とオタクと嫌儲の橋を渡って

スマホが普及しネットにオタク的でない人々も大勢やってきてSNSが隆盛した2010年代、誰にとってもネットが身近な存在になるに従って、動画を楽しむ人口は大いに増えたが、主流はYoutubeというか地上波のようなクリーンな路線になっていったし、お金もそこに集まるようになった。
Youtubeには面白いチャンネルも数多いし、トップ層はやはり凄いなと感じるが、かつての個人勢のオタクによる空気感とは明らかな別物だ。

例のアレの世界は権利的・倫理的にアウトなもので溢れかえってるので、まともなスポンサーから資金が流れ込む余地がほとんど無い。お金というのはしがらみであったり大人の都合によるコントロールや責任を伴うものだが、そういうものの影響が届きにくい場所なのだ。
本当に純粋に作りたい奴が作ってるだけのコンテンツであるため、動画自体があんなに汚いのとは対照的にその精神性は妙に潔癖な側面がある。例えニコニコ動画の歴史から葬り去られようと、一銭にもならない作品が投稿され続ける。小学生染みた異常者達の最後の安住の地なのである。
AI拓也など、AIを用いた作品の発表の場の最前線にして最底辺となっているのも例のアレの特徴だ。生成AIは過渡期の技術で、特に学習データの権利関係といった点を中心に問題や議論が多い……というか荒れまくっててオープンな場所で建設的な議論など出来ない。AI拓也にはとりあえず細かい話はスッ飛ばしてAIの異常な出力を異常なまま楽しむ土壌がある。人権も正義もあったものではない邪悪でどうしようもない連中だが、不当な利益を貪ってはいないのだから放っておけ、という了解が内外にあり、しかも「面白い」以外の存在意義が皆無だからこそ育った空間がそこにある。こんな稀有な場所はなかなか無い。


こういう文化なので、嫌儲、つまり利益を得てはならないという風潮になりがちなのは理解出来る。例のアレだけでなくニコニコ全体、ひいては「昔のインターネット」全般にかつて拡がっていた空気でもあるが。古き良き誰得精神、そして嫌儲精神。
嫌儲精神は儲けている他人への単なる嫉妬だったり、無料で作品を供給して欲しいという乞食根性とされる事も多いが、ある種の文化的な防壁として機能している側面もあるのだ。その防壁が稀有な場を守るのだ。
しかし報酬の無い活動には普通ならまともに続けられないわけで、創作で利益を得る事を悪だと考えたり後ろめたく思う風潮はあまり良くない。ニコニコにも今はクリ奨とかあるし、運営もそれをプッシュしているが、今でもお金の話を前面に出すのが憚られる空気は存在する。こうなると異常者しかニコニコには残らず、まともで万人受けするクリエイターはYoutubeに行く事になるのだろう。防壁が強固でも補給が無いと普通は干上がるものだ。しかし例のアレ界隈は異常者の供給が豊富なので何故か持続している。稀有な場であるからそういう事が起こるのは理解出来るが、これは本来おかしな事だ。

例のアレと比較して、合成音声の文化はどうだろうか?
創作の幅の広さや、多くの人が互いに素材や発想をシェアする空気はニコニコ育ちに共通する近しい精神を感じるが、しかし規約や権利関係の実態だけを見るならほとんど正反対かもしれない。ソフト・キャラ・素材など多岐に渡る関係者間の権利や仁義のバランスが一般的な同人創作と比較してもやたら複雑だし数も多い。当然その点は例のアレ界隈と明確に異なる。しがらみは多いが、合成音声は当然クリーンたりえる。
だからYoutube側でも流行するポテンシャルがあると思うし、ニコニコを飛び出して実際にYoutubeを主戦場にしようと進出していく投稿者は結構いる。
投稿者個人の利益だけでなく、合成音声の界隈全体を盛り上げようとする上でも、経済合理的な最適解は「ニコニコである程度下積みして、上手くスタイルを確立したらYoutubeに進出する」という形になるのだろう。私は合成音声に関してはそういう路線で頑張ってる人も応援したい気持ちがある。

私自身も権利的なところはなるべくクリーンであるように気を付けており、可能な限りコンテンツツリーに登録したり名前をクレジットしたりしている。*5だから、行こうと思えば私もYoutubeに進出するという事は出来るだろう。
しかし、私は多分行かない。仮に気が変わってYoutubeにも出す事になったとしても、メインはニコニコであり続けるだろう。私は投稿者として大成したいのではなく、正気の異常者として完成したいと思っているのだから。根がどうしてもネット老人なのだ。私はニコニコの異常なコンテンツを愛し、その一方で正常性を手放さず権利的にクリーン寄りな動画を作りニコニコに投稿し続ける。自分なりに真剣にどう狂えば楽しくやれるか考えている。別に狂えてさえいればニコニコでなくてもいいのだが、ニコニコには愛着があるし、今でも丁度いい場所だからしばらくここにいるだろう。

得しようとして行動するとみんな行動が似通ってくる。合理に最適化されてくるのだ。それは創発性を感じられて美しい事でもあるが、私はそういう所にカウンターを打ちたくなるし、損に飛び込んだり美学のために意地を張れる奴はやっぱり面白いな、と感じてしまう。マイナスに飛び込めって岡本太郎か?
もちろん、金を汚いものと扱ったり他人が儲かるのを妬むような、プラスを拒むタイプの嫌儲は好きではない。可能ならちゃんと稼いだ上で金を愉快なドブに捨てたいものだ。*6ドブに捨てて感動出来るならトータルではプラスのままだとも言える。

何の話だっけ?

とにかくニコニコや例のアレの特異性、損得をシグナルとした経済合理に基づく人の流れ、創作活動への影響については色々思うところがあるので、出来るものならそのへんの構造にちょっかいを入れてみたいと思う。きっと楽しい。
今のニコニコは私みたいな小物の動画でもぼちぼちランキングに入るくらいだし、それを活かして何かまた違った文化をやっていく事は出来ないものだろうか? 最近はそんな事を考えている。

元ネタなどについて

さて、投稿した動画の話。
「直接的に淫夢を使ってはいけない」という縛りを負いつつ、可能な限り匂わせるために「淫夢とは言えないが距離的に近い例のアレである」「事実上淫夢だがそれなりにマニアックなので詳しい人にしかわからない」ネタを多めに盛り込んだ結果、視聴者に通じてるか不安すぎる動画と化したため、ここに答え合わせとして元ネタを列挙していく。淫夢と無関係に単に好きだから入れただけのネタもかなりある。

AIのべりすと

冒頭から1:10までは、完全にフォーマットがAI拓也である。
拓也さんは淫夢界隈ではKBTITとも呼ばれていた実在の人物だが、彼がかつてWeb上に公開していた日記の怪文書文豪っぷりに感銘を受けた者達によって、その文体を真似して書く「同人拓也」の流れがまず出来た。それから、それをAIにやらせて異常な文書を量産しよう、という最悪の発想が生まれ、そういう流れで成立したジャンルである。*7
saize-lw.hatenablog.com
私の動画の冒頭の文書は、無論ちゃんとAI拓也の作法に則り、赤部分までは私がAIのべりすとに入力し、白部分からはAIのべりすとが実際に出力したものを利用している。何度かリトライした。
「ゆめ」という響きから連想して夢日記っぽいジャンルだという解説が生成されたのだろう。【「夢」と「寝言」を掛け合わせた造語】と言っているが「寝言」部分が全然残ってないし「いん」はどこから来たのか不明だ。しかし全然成立していない言葉遊びはAIのべりすとらしさを感じられるので、これは良いと思って採用した。
コメントにも【いんはどこから来たのだよ】とツッコミを入れてる人がいた。

読み上げ音声にはVOICEVOX3期生であるVirVox Projectの青山龍星くんを起用した。低く落ち着いた良い声でナレーター適正も高く、AI拓也界隈でも使っている人が多いのだ。
ただしAI拓也界隈で使われている読み上げ音声キャラの一番人気は、圧倒的にショウ君ことShowだ。このShowはReadSpeakerという音声合成ソフトウェアの人気話者なのだが、一時期は無能ボイスと呼ばれてたし現在もAI拓也で酷い扱いを受け続けている。コンシューマ向けは発売されておらず、法人が直接HOYA株式会社にライセンス契約しなければ扱うことが出来ないため、一般消費者が気軽に利用する事は出来ない。じゃあAI拓也投稿者はどのように利用しているのかというと、デモ音声を抜き取るなど、ライセンス的に完全にアウトな手段を利用しているようだ。簡単に利用出来ないように対策されたりもしたようだが現在でも何か色々な抜け穴を使って利用され続けているようだ。
流石に私がそれをやるのはありえないと思ったので、龍星くんにお願いする事になったというわけだ。初使用がこんなんで申し訳ないな。

キャラクター:雨晴はう

画面右に配置しているのは VOICEVOX2期生である看護師キャラの雨晴はうさん。
AMEHAREHOUSE 雨晴はう official | 雨晴はう 公式サイト
AI拓也においては「AIのべりすと」というサービスや物語を書くAIそのものを象徴するキャラクターとして、AIのべりすとのトップページにいる緑髪の女の子キャラが登場させられる事がある。
www.nicovideo.jp
この子は正式にはトリンというキャラなのだが、AI拓也の中では何故か「のべっち」と呼ばれている。細かい経緯は知らないが、のべりすとを愛称で呼んでのべっちなのだろう。こののべっちの声として、雨晴はうの声が利用される事が定着しているので、冒頭にAI拓也ネタをブチこむなら……ということで彼女を起用する事になった。そんな理由ある? 声がほわほわして可愛らしいから使ってみたいなとは思っていたが、まさかこんな理由で使う事になるとは思わなかった。申し訳ないな。
新年になって雨晴はう公式さんがぼすきーに挨拶に来てくれたり、話題になったワッフルの写真を絵文字として使用する事に許可を頂けたりしたのだが、私は「アッアッスミマセン……」という気持ちでそれを見ていた。

キャラクター:冥鳴ひまり

画面左に配置しているのは VOICEVOX3期生である死神キャラの冥鳴ひまりさん。
もうこの子に関しては細かい説明をしなくてもいいと思うけど、VTuberである本人が例のアレとかネットミームとかのスラングをexVOICEとして発売しているので最適なキャラだと思って採用した。
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淫夢のお姉ちゃん」などと呼ばれて大人気だ。間違いなくこんな理由で使う事になるべきキャラなので全然申し訳なくない。使えてとても良かった。声も落ち着いていて良い感じ。でも次やる時はVTuber冥鳴ひまりのいたずらっぽいニュアンスを出してみたいな。なかなか難しそうだ。あの感じ可愛いよね。
最近はクラウドファンディングもしているようだ。現時点で開始から1週間も経過しておらず、まだ期間が丸一か月近く残ってるのに全てのストレッチゴールを達成してしまっている。凄い。喜びスタイルだとVTuber冥鳴ひまりっぽい感じを出しやすいだろうか。楽しみだ。
camp-fire.jp

立ち絵:moikyさん

こんな動画なので「作者さんが淫夢苦手な人だったら嫌がられたりするかもしれないな……」と思って立ち絵作者さんのTwitter*8を覗いたりなんかしたのだが「雨晴はうと冥鳴ひまりを両方描いていて明らかに淫夢が苦手ではなさそう」という理由でmoikyさんの立ち絵をお借りする事にした。しっとりとしていてそれでいてベタつかないすっきりした可愛らしい絵柄で素晴らしい。
意外とこの2人の立ち絵を両方描いてる方って少ないんだなあ、という発見があった。

今日は楽しい日になるね!

全然淫夢と関係ないが、AIのべりすとが捻りだした「いんゆめ」の解釈が夢日記すぎたので、ここはVOICEROID夢日記の始祖である「きりたん(20代男性)の夢記録」シリーズのネタを入れたい、と思ったのだった。
www.nicovideo.jp
ハッピーな感じで始めたかったので「今日は楽しい日になるね!」を使ったのだが、コメントに【みんな床ファグりは済ませた?】というものがあり、やられた! と思った。夢記録において年末の風物詩といえば床ファグりじゃないか。失念していた事に動揺して思わずイトバーニュして心を落ち着けようとしてしまった。

私は死神だから「いんゆめ」のことがわからなくて

これも全然淫夢と関係ないが、フリーレン構文。
togetter.com
動画編集時点で流行のミームの中でもありとあらゆるコラボを成立させる力強いものだったので会話の導入には丁度良く、取り入れる事にした。

おお

かんたんコメント。ニコニコ動画のプレイヤー下部に付いたボタンからワンクリックでコメントが送れる機能。
驚いたり感心した時に賞賛を送るためのコメントとして用意されているのだろう。
例のアレ全般に見られるが、特にAI拓也においては、全然賞賛出来ないクソみたいな発想やガバガバな名案が出た時に「おお」というコメントが大量に流れ、それに対して「なにがおおだよ」「おおじゃないが」と突っ込みが入るのがお約束である。

地味に気付きにくい異常な点として、淫夢動画において「おお」は実際にはかんたんコメントではないという点が挙げられる。
ニコニコでは動画のカテゴリによって使えるかんたんコメントのセットが異なるのだが、料理やゲームなどのカテゴリは「おお」が送れるものの、その他カテゴリのセットに「おお」は存在していないのだ。つまり、淫夢動画の視聴者はみんなしてわざわざ他カテゴリのかんたんコメントっぽいコメントを手打ちで行うという小ボケを行っている事になる。なんでだよ。まあわかりやすくリアクションを伝えられるワードだし、手打ちでも入力はかんたんだけど。

そこは流石に嘘だよ

これもフリーレン構文。正確には「フェルン、それは流石に嘘だよ」である。
これは公式ではなくTwitter*9上でユーザーに創作されたもの。
年食ったオタクが「最近の作品」として認識してるものが実際には相当昔のものという事実を突きつけられ驚く……という流れは定番だが、これを長命種のフリーレンに引っかけて会話するというもの。
動画では流石に嘘だよ、などと否定しているが、何気に野獣先輩が注目され始めて投稿が活発になりだしたのが2010年頃なのでニコニコに限ってもかなり歴史があり、動画で言ってる内容は大きく間違いではなかったりする。最古の淫夢関連動画は2010年どころかニコニコ初期の2007年にはあったし、2chガイドライン板の「TDNのガイドライン」スレでは2005年からネタにしていたのでニコニコに限らなければ実はもっと歴史があったりする。昔は真夏の夜の淫夢というビデオ全体ではなくTDN選手関連のゴシップだけが注目されていたのだ。「お前ここは初めてか? 力抜けよ」「汚い○○だなあ」「アッー!」あたりが初期のスレでよく使われていた最古に近い淫夢語録だと思われるが、このへん今ではあんまり使われてないよね。一方動画素材として面白いものなら初期の語録であっても生き残ってる感じだ。

AIは嘘つき

テキスト生成AIの言語モデルが全くの大嘘を堂々と喋る「幻覚(ハルシネーション)」という現象があり、高性能な言語モデルでもたびたび発生するので気を付けないといけない。
それはさておき、フレーズとしての元ネタは淫夢語録「ホモは嘘つき」である。淫夢においては他にも「ホモはせっかち」「ホモ特有の~」など、普通に考えたら直球の差別というか邪悪な決めつけに基づいたストレオタイプ的なフレーズが存在する。小学生かよ。どちらかというとホモである事よりポルノビデオである事に起因してTDN氏や作中の人物が色々とバレバレの嘘をつくシーンが多かったのでそれで形成されたイメージであろう。「インディアン嘘つかない」みたいな戯画化である。

やめろワシはホモビなんて観ない

こち亀両さんが言いそうな事という形でネットで勝手に形成された「やめろ! ワシはホモじゃない」というフレーズの改変。
実際には原作でそういった発言は出ていないらしい。両さんがホモっぽい事しててもなんか違和感無いし麻里愛も初期は男だったし周囲のキャラの暴走や勘違いに巻き込まれて「やめろ!」とか言ってるシーンが多いので多くの人が脳内再生余裕だったためにここまで拡まったのだろう。

ロックマンとか工場見学の動画

ロックマンというのは、コメントでも理解した人が大勢いるが、634氏の投稿する一連の動画「69マンSEエックス ゼERO」の事である。
www.nicovideo.jp
端的に言えばロックマンXシリーズの映像を主な素材とした音MADなのだが、その怒涛の下品さと勢いは凄まじく、見ていると頭がおかしくなる。適当に数本視聴するだけでどんな作風かはすぐ理解出来るだろう。ほとんど全部そんな感じである。見方にもよるが淫夢より下品だと思う。
恐るべきは2007年の初投稿から2024年1月現在までコンスタントにこの作風のまま投稿を続けているという事実で、既に動画の件数は1300件を超える。昔は「100本以上こんな動画作っててやばすぎる……」と思っていたが、まさかそれが15年続くとは思ってなかったので恐怖を感じる。
精神状態がまともな時は「なんだこれ下品すぎる」「もっと他に有意義な動画があるだろ」と思って視聴をやめてしまうのだが、心が疲れてる時にたまに視聴すると頭が空っぽになって良い感じなので電子ドラッグとして重宝している。


工場見学の動画の方は「ザ・メイキング」である。タグは「ザーメンキング」
dic.nicovideo.jp
淡々と色んなものが工場で作られていく過程を紹介するシリーズであり、社会科見学みたいで観ていて純粋に楽しい。
元動画はYoutube科学技術振興機構JST)が投稿している動画で、ニコニコのはその転載である。お約束的なコメントやつっこみが色々あって、ネタ色が強いアニメ見てる時に近い感覚だ。

お前なんなんだよ、禁じられた~

FF10ティーダのセリフ「お前なんなんだよ!」*10とワッカのセリフ「禁じられた機械を平気で使ってんじゃねえか」
無論、直接的に意識した元ネタは「おとわっか」 ホモネタとしての薄っすらとした繋がりを意識している。
dic.nicovideo.jp

私たちのような無識な一般人

「無識な」という言葉自体は普通の語彙だが、通常であれば一般的には「無知な」と表現する事の方が多い。
わざわざ「無識な」と表現した元ネタはテコンダー朴。「無識な日本人は人権派格闘技漫画テコンダー朴を読んで正しい人権意識を学べ!」といった形で使われる。

知的エリートの方々にとっては知っておかないと恥を~

事実である。確かに少々盛ってるが大きな嘘は言っていない。
コメントでも多く反応してもらっているが、作品などの公募に淫夢ネタを混ぜ込まれた際に、審査側がそうと知らずに採用してネットで話題になってしまうという悲しい事件はちょこちょこ起きている。回避するためにもある程度知っておかねばならないというクソみたいなミームだ。「自分の知識量を悟られたり~」は、「無知がバレたら恥ずかしい」とも「淫夢厨だとバレたくない」とも解釈出来る表現として捻りだしたもの。
淫夢には言葉遊び的な側面があるので、真面目な話、それなりに学力があり尖ったコンテンツを好むタイプの大学生に特に好まれる傾向は実際にあったりするようだ。淫夢は出自がゲイポルノの無断転載という隙の無いクソなのでいくら流行しても社会や権威と一体化する事が無いという安心感もあり、モラトリアムな知性を引き寄せるのかもしれない。それを踏まえて「インテリ大学生の皆さんは日夜ピカピカ光るパソコンを~」という風に「ゲーミングPCを好むオタク大学生」というペルソナを仮定し、褒める風に煽りにいっている。

なんてことだ

淫夢とは無関係のメーデーネタ。「なんてことだ、もう助からないゾ♥」
エアカナダ143便の事故(いわゆる「ギムリー・グライダー」の回)でヒューイット管制官が放った非常に有名なセリフ

である事を意味していますよね

「意識高い系空手部」より。迫真空手部本編のセリフを「意識高い系ビジネス用語翻訳」に通したもの。この翻訳はノムリッシュ翻訳と同じサイトに存在するもの。「ですよねぇ」が「である事を意味していますよね」に翻訳された。
根本的な元ネタはこれだが、特にThe Witnessを実況した「迫真パズル部・総当りの裏技」シリーズでこの語録が頻繁に用いられた事から特に有名な語録となった。
パズルの要点を掴んだ気持ちの良いシーンでこの語録が使われがちだったため、そのたびに「である事を意味している+114514810点」のように視聴者からの賞賛コメントが飛んだ。
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心が豊かなので性格も良い→彼女ができる

ブロント語。淫夢とは関係ないがニコニコでも昔かなり流行っていた。

・豪華なHNMLS→装備が充実→心が豊かなので性格も良い→彼女ができる
・せこいLS→装備が雑魚→心が狭く顔にまででてくる→いくえ不明

高レベルのプレイヤーは余裕があるので性格も良くて彼女も出来るが、ザコは性格も悪いのでいなくなりますよ、という主張である。
FF11の伝説的な(?)プレイヤーであるブロントさんは「ナイトというジョブは偉く、自分はナイトの凄いプレイヤーである。しかも腕っぷしも強い」という熱い自画自賛を延々と崩壊した日本語で主張していたが、その崩壊した日本語のセンスが面白くてウケた。これもまた一種の「語録」としての知的刺激をベースとした受容であり、ネットスラングとして淫夢と通底するものが感じられる。

ちなみに「素晴らしい努力だすばらしい」もブロント語。原文は「素晴らしいナイトだすばらしい」 2回目の「すばらしい」がひらがなであるのも勢いを感じられてよい。

明るい未来に就職希望だわ

淫夢とは全然無関係なアイドルグループであるモーニング娘。のシングル「LOVEマシーン」の歌詞の一節。リリースが1999年なので20世紀の楽曲であり、この動画で扱うネタの中ではブッチギリで古い。唯一「真夏の夜の淫夢」というビデオそのものよりも古いと言えるネタ。
大学生の未来は明るいなあという展望をアホっぽい感じで言いたい、と思った時に丁度いいフレーズだったので入れた。同時に加齢臭もして大変よろしい。
当時はテレビを見たら毎日のようにLOVEマシーンが流れてるくらい人気の曲だったように思う。子供の頃は「アホっぽいネタ曲」と感じてあんまり好きじゃなかった覚えがあるが、大人になってなんかの機会に聴いたらポップでキャッチーで良い曲だなあ、と感じたのだった。「日本の未来はWow Wow Wow Wow」って歌詞どうやって思いつくんだ。
何気にモーニング娘。ってまだ活動してるんすね。メンバーは物凄く入れ替わってるけど……当時は新規加入メンバーがドンドン増えていってたので「将来的に物凄い人数になるのではないか」とネタになってた覚えがあるけど、その後はAKB48とかが出てきたので当たらずとも遠からずといった感じだ。

中国や韓国ですが インムを通じてコミュニケーションで相互理解

事実である。
国↑交↓とも言われており、韓国もそうだが、特に中国での淫夢の広がりは特筆すべきものがある。
中国は同性婚を法的に認めてないものの、禁じているというほどではない。そこまでは日本も同様だが、しかし表現のレベルにおいては日本よりかなり抑圧的で、例えば映画やドラマなどの作品において同性愛表現は「不健全」として検閲排除する傾向にあり、日本風の美少女ゲームなんかも突然規制を強められたりする。要は同性愛や二次元美少女に現を抜かしてないで結婚して子供を作り国に貢献しなさい、という事なのだろうか。
ただ、何故か謎に淫夢は見逃されやすいらしい。ネタだから取るに足らない、という扱いなのだろうか? 特にbilibiliでは特に厳しく削除されずに生き残ってる淫夢動画は数多い。とはいえ、bilibiliも元祖であるニコニコと同じく下の世代をTiktokに取られるなどして若干オワコン化が進んでいるらしく、bilibiliに残ってるのはニッチなオタクだけ、という雰囲気のようで、これも例のアレらしい感じだ。日本からしたら中国は人口が多いから活発に見えるが、国民全体の比率で見たら淫夢厨やるようなオタクは日本以上に少数派のように見える。
淫夢があまり規制されてないと言っても、そもそも淫夢は検閲しづらいという側面もある。中国共産党の真面目な役人がホモビMADの詳細なトレンドを把握しているはずも無く「オタクにはわかるが検閲は貫通する」ネタとなりえる。日本と同様に『回避するためにもある程度知っておかねばならないというクソみたいなミーム』なのだが、中国においてはよりシリアスなのだ。淫夢っぽいものが公的な掲示物や作品に採用されてしまう、といった事故は日本でもちょくちょくあるが、大抵は単なる悪ふざけに過ぎない。一方で検閲の厳しい中国においては検閲者をあざ笑い、政府の検閲などに我々は屈しない、という態度を示す反政府インテリ仕草的な意味合いを若干帯びていたりするのだ。この話がどれぐらいマジでどれくらいネタなのか、本当にリスキーな行為なのかは正直わからないがそういう側面は実際あるらしい。中国でオタクをやるのは大変そうだ。
まあ、淫夢厨やるような中国人は総じて自由主義寄りの思想を持つオタクである可能性が高く、日本のオタクとの親和性は高いだろう。政府間のピリピリした感じよりは随分と個人間での交流はしやすそうだ。それがホモビを介した交流になってしまうのは はっきり言って異常としか言いようがないが。

お互いを好きになること いいこと

山崎まさゆきのシングル「愛のカタチ」の一節「人を好きになることいいこと」の改変。
現実の歌手ではなく「 i-mode学園」というゲイポルノ作品に収録された作中作である。淫夢ネタ。
dic.nicovideo.jp

ラブアンドピース

閉廷おじさんが口走った一言。淫夢ネタ。
裁判中に(位置的に多分書記官の)おじさんだけ無視される状態になり、無視しないで欲しいと色々ちょっかいをかけたが一切反応を貰えず、エスカレートしてメチャクチャな狼藉を初めてしまい、最終的にはメチャクチャやりながら「ラブアンドピース」などと叫び始めるコントみたいなポルノ作品があり、それが元ネタ。淫夢扱いされてるが何気にホモではなくノンケ向けの作品。
w.atwiki.jp

こいつは国民党を直撃する

2023年末頃に爆発的に流行っていた「アナルアサシン VS 忍者」より、15:30あたり、中指を使って責め始める際の「こいつはポイントを直撃する」という発言の空耳。
中国関係の話題が出たので引用したが、国民党は中国ではなく台湾の政党であり、歴史的には大日本帝国中国共産党と戦って最終的には台湾に敗走した人々の末裔なので文脈的にはちょっとズレてるかな。
現在の台湾は大陸志向の国民党ではなく台湾独自のアイデンティティを重視する民進党が与党となっている。

音声はVOICEVOXの私達を使えば

有名な語録である「金・暴力・SEX」と、野獣先輩の「屋上あんだけど……焼いてかない?」に対する遠野の返答「あぁ~いいっすねぇ」から「暴」「いいっす」「暴」「X」を切り貼りして「VOICEVOX」と読ませる、というネタ。キメラ語録。あのさぁ……言い訳のしようがなく淫夢ネタじゃないか(呆れ)
ここまで「淫夢を禁止出来るのか?」「素材を使わなければいい」とネタ抜きにダラダラと喋った後に投入するので不意打ちになって良い感じだと思う。
「金・暴力・SEX」は結構色んな切り貼りキメラとして使われていて、例えばゲーム実況系だと「金・暴力」の「か」と「りょく」を切り貼りして「火力!」と言ったりボスが現れたら「暴力・SEX」の「ぼ」と「す」を切り貼りして「ボス!」と言う、みたいな事が一般的にされている。クソみたいな知識だ。

なんの面白みもないじゃないか

JOKER姉貴。「棒読みっぽさが淫夢の男優に似てる」というだけの事で東方のボイスドラマ作品を淫夢や例のアレの文脈に巻き込んでいく「クッキー☆」という界隈が存在するのだが、クッキー認定されてる作品の1つ『古明地こいしのドキドキ☆鍋パーティ!』にて水橋パルスィ役を演じた人物。
作中にて闇鍋を行うのだが、パルスィは「好きだから」という理由で闇鍋にも関わらず ごく普通の大根を食材として選択し、後になって後悔して「私だけなんの面白みもないじゃない」と発言した、というもの。
作中でも順番を飛ばされるなど存在感が無い事をネタにされており、登場するたびにコメントで「誰?」などと言われる事がお約束。
出自的に「クッキー☆」は淫夢と絡む必然性がないのになんか例のアレ扱いされてるというポジションなので「ク☆は淫夢ではない」と主張する人もいる事から、これについては淫夢ネタではないと言い張ることが出来るだろう。
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仕方ないね 何の問題ですか? 何の問題も無いよね

ご存じ「本格的 ガチムチパンツレスリング」より。
本編は全て英語なので上記は全て空耳である。淫夢には「しょうがないね」「しょうがねえな」等の語録があるが、慌てず騒がず落ち着いて「仕方ないね」に置き換える事で淫夢判定を回避する事が出来る。レスリングについては公式がイベントにビリー兄貴を呼ぶなど存在を認めているので、系譜としては近いものの、完全に黙殺されている淫夢とは別という扱いである。申し訳ないがレスリングはNG。
何の問題ですか? → 何の問題も無いよね → ラミレスビーチの誓い♂ という風に続くのだが、テンポ的にラミレスビーチの誓い♂についてはカットさせて貰った。許してや……

許しは請わぬ

「アンチブリッツボールおじさん」「ノムリッシュいなり」という2つの動画で登場するのが有名。
前者は「THEクレーマー 1 バレー青年植木鉢破損」をノムリッシュ翻訳した動画。元々のTHEクレーマーは「バレーボールで誤って植木鉢を破壊してしまった青年に対しておじさんが『おい、どうしてくれんだよ!』と迫り、青年は平謝りする」というシナリオ。これをノムリッシュ翻訳すると「おい!」が「応えよ!」になり「ごめんなさい」「すみません」などの謝罪が「赦しは請わぬ」に翻訳されるため、おじさんが「応えよ、我が声に応えよ!」と連呼し、青年が何度も「許しは請わぬ」と応じるという異様なやり取りが展開される。
後者は寿司屋見習の男が配達中にいなり寿司を勝手に食べちゃった事を謝るシーンで「許しは請わぬ」と言いながら土下座する。
何気に前者は「赦し」で後者は「許し」という表記ゆれが存在する。

ノムリッシュ翻訳だから淫夢語録じゃないと言い張ることが出来るだろう。
許しは請わぬ、それは、星の命運を賭けた戦い。

ⅠⅠⅣⅤⅠⅣ年後

野獣先輩のセリフ「いいよ、来いよ!」から114514という数字が特別扱いされているが、これをローマ数字にして誤魔化したもの……というだけではなく、直接的な元ネタは「野獣先輩 VS いんゆめ君」という動画。
妙に低クオリティだが独特の間が癖になる劇場動画で、場面転換にやたら長い「ⅠⅠⅣⅤⅠⅣ億年後…。」というテロップが入る。元ネタは億年後だが「億は長すぎるかな」という私の意味不明な遠慮が働いてⅠⅠⅣⅤⅠⅣ年後になった。
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場面転換で流れるゴキゲンなジングルらしき音

これは直接淫夢と関係あるわけではないが、有名なゲーム実況である「人命レ●プ!火の玉と化した緑くん.KSP」からの一連のシリーズにて場面転換のジングルとして使われていた音である。
プレイしているKerbal Space Programは宇宙開発シミュレーションゲームで、高度な物理シミュレーションが組み込まれており、自分でロケットを設計したりそれを用いて宇宙探索をしたりといった事が出来る。ただこのシリーズの投稿者は倫理観が破綻しており、このゲームにおいて人間の代わりとして扱われる緑色のマスコット、通称「緑くん」を酷い目に合わせるためにムチャクチャな挑戦ばかりしている。最終的に予定通り緑くんを酷い目に合わせる事が出来たら「実験は成功だ!」「やはり私は間違っていなかった」などと言う。
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曲自体はPlayStation2のアクションゲーム「GOD HAND」のBGMであるGene's Rock-a-byeという曲(のイントロ)
GOD HANDは世界観やシナリオ面では物凄いバカゲーだが、アクションゲームとしてのクオリティや難易度は極めて高いトガった作品で、ファンも多い。
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ドサーッ(米を投入)

野獣先輩がアイスティー睡眠薬をサーッと入れるシーンを想起させたかったので「猛烈に流体を投入するシーン」は結構意識して入れた。米を投入するシーン、スパイスを投入するシーン、味の素を投入するシーンなど。

今は瘦せてきてるし

野獣先輩の語録「昔は太ってたんですけど」を連想させるフレーズとして入れた。
これは気付かれないと思ったがちゃんと拾ってくれたコメントがある。やはり視聴者をナメてはいけないな。

王道って感じだね

野獣先輩の語録「やっぱり僕は王道を征く」の匂わせ。案の定、これはコメントで言葉狩りが発生している。

なんか本格的

ONDISKの語録「なんか芸術的」の言い換え。
雨晴はうさんの調声もだいぶONDISKのイントネーションに寄せている。

ちょっとやる分には簡単簡単

GOの語録「30分で5万! すげぇよ、簡単だから。本当だから簡単簡単」を意識していたがこれは流石に表現が遠すぎて伝わらなかった。

インムに関係の深い料理

まず、カレーは既にアウト寄りである。
小学生並みだが、カレーを大便のイメージに寄せるクッソ汚い発想が淫夢界隈にはあり、脱糞音を動画素材として使うのが流行った事もあった。今もちょくちょく使われる。最悪だなあ。ガーゴイルKMRなんて言われてたよね。モザイク代わりに「カレーハウスCoCo壱番屋」の画像を使用するなどだいぶ最悪だった。「汚らしさ」を競い合いがちなこの世の終わりみたいな界隈だと再認識させられる。

ひまりがプランBとして提案したステーキやピザについて。まずステーキは「職場淫猥白書9 料理人解体ショー」にて出張料理人中野くんの焼いたステーキが存在するので、屋外で直火で焼いたら淫夢になるだろう。
ピザについては「職場淫猥白書8 ピザ配達員豊田編」にて配達員がピザをつまみ食いしてしまい、その代償として客が性行為に持ち込もうとする、という話がある。いなり寿司については「職場淫猥白書13 寿司職人見習い編」にて配達してきた見習いがいなり寿司をつまみ食いしてしまい、その代償として性行為に持ち込もうとする、という話がある。ほとんど話の筋が同じじゃねーか!
中野くんのステーキもピザもいなり寿司も全部関西クレーマーことカーリーが登場する同一のシリーズである。ネット歴長い人なら、淫夢厨でなくても「いなりが入ってないやん」というフレーズは見かけた事があるのではなかろうか。寿司が登場したらいなりが入ってても入ってなくても淫夢認定されかねなくて危険だ。
ラーメンについてはもちろん迫真空手部の野獣先輩の語録「この辺にぃ、旨いラーメン屋の屋台来てるらしいっすよ。」より。
要するに挙げた全ての料理が淫夢にカスってるのである。

トマト缶

「アナルアサシン VS 忍者」より演出のパクり。
そもそも「アナルアサシン VS 忍者」はアダルトグッズの販促のための映像であるため、エロシーンでそれらのアダルトグッズが登場したタイミングで、紹介する意味での演出が入る。その演出というのが【効果音ラボの「バーン」(もしくは「ショック3」)というSEを流して、虹色のグラデーションで縁取りしたテキストでグッズ名を表示する】というもので、比較的簡単に真似できそうだったので真似したのだった。個人的にはもうちょっとフォントにもこだわって寄せれば良かったかな、と反省している。
その後の「味噌」と「ヨーグルト」などについても同様である。

うまあじ

「うま味紳士」より。これはゲイポルノビデオが元という点は同じであるが、文脈的には淫夢ではなく「ふたば☆ちゃんねる」のネタである。
迷惑コテハンであった「マジレス」氏の顔写真*11を「うま味紳士」のパッケージに合成したコラが出回った事から「マジレスはうま味紳士である」というネタが定着し、マジレスの画像を見て「誰このおっさん」と言う人の前に颯爽とキミキスさん*12が現れ「うま味紳士よ!絶対に許さないうま味紳士!」と教えてくれる、という謎の流れが定着していた。
パッケージの「うま味」の味の部分にはちゃんと「あじ」というルビが振られているため「うま味」は「うまあじ」と呼ぶべきだとする勢力と、常識的に考えて「うまみ」と呼ぶべきだとする勢力が日夜バトルを繰り広げる事となった。日々「うまみ派はバカだな」「うまあじ派は賢いな」などと罵りあっている。「うまテイスト」とか言い出す国際派や「うまウェイ」と言い出す中国人も登場する。

スパイスのくだりは割と料理の話をしているが、本当に雰囲気で適当に目分量でスパイスを入れていたので料理動画にあるまじき適当さである。実際「これくらい適当にやっても案外美味しく作れますよ」というのは実際に言いたかった事なので、そういう意味では真面目な調理シーンと言えなくもない。
このときクミンパウダー少ねえ! と結構焦ってたりする。クミンシード使ってるし多分大丈夫だ、と考えて調理を続行した。

なんでもいい

非常に有名な語録「許してくださいなんでもしますから!」の匂わせ。
これも淫夢厨でない人にも伝わるレベルで知名度が高い語録の筆頭だろう。

おばあちゃんの素

アル中カラカラことwawawa氏が、味の素の事を何故か「おばあちゃんの素」と呼ぶ事から。
wawawa氏の動画は基本的には衛生観念に欠ける汚い映像で、意味不明な量の味の素や粉ワサビや粉カラシ一味唐辛子をツマミにブチこんだり、わけわからん分量のウイスキーハイボールにして飲み続けており、本当に物凄い迫力である。
別にwawawa氏は淫夢ではないが、淫夢とか好きな人は絶対好きだろうからネタを取り入れた。
味の素は忌避する人もちょいちょいいるが、使うとわかりやすく旨くなるので、ひと味足らないな、という事にならないように使っていくのは全然アリだ。特に初心者ほど活用すべきだろう。今回ネタとしてやや多めに入れたが、塩味甘味酸味苦味と違ってうま味は多めに入れても味のバランスが崩れるまでの量にやや余裕があるし実際全然許容範囲内だった。最終的にはちゃんと美味しく仕上がった。
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どうでもいいけど、最近のTwitter*13陰謀論界隈では「味の素を使ったり利用を薦める奴は悪魔崇拝者」ということになっており、バズレシピで有名な料理研究家リュウジ氏が悪魔崇拝者扱いされるというほのぼのエピソードもあったよね。

大海近いから

野獣先輩の語録「大会近いからね」より。漢字が違うから……と言い張る。

まるでカレー博士だ 調べたさ……

NARUTOより。気持ち的にはナルトス、つまり「ふたば☆ちゃんねる」関連ネタであるが、一連の語録はナルトスのコラではなくNARUTO本編から。
「ずいぶん勉強したな...まるで蛇博士だ」「調べたさ…大蛇丸を倒す為にな」「でもただの蛇博士じゃあこのボクは倒せないよ!」と続く。
全然淫夢と関係ないのだがコメントで【でもただのカレー博士じゃあこのカレーは作れないよ!】と乗ってくれてる人がいたのはかなり嬉しかった。

←結論

らき☆すた」アニメのOP「もってけ!セーラーふく」の歌詞の一節「セーラー服だからです←結論」より。
なんとなくニコ厨っぽいテイストを出したかったから唐突に字幕に放り込んだ。

知的さとは正反対の野獣のような

言うまでもなく野獣先輩のこと。また、あくまで「淫夢は知的なインテリのものである」という前提を崩さずに話を進めるつもりですよ、という宣言でもある。

なんという冷静で的確な判断力なんだ

淫夢とは無関係な「キン肉マン」のキン肉星王位争奪編、『ソルジャー登場の巻』のワンシーンより。
意味不明な賞賛をしたいシーンだったので、ネットミームとして有名なこれを引用した。

下品だなあ、そうに決まってる

「Hikakin Mania」より。
有名YoutuberであるHIKAKIN氏の動画を切り抜きして下品な改変をしまくって投稿していたHikakin Maniaという動画投稿者がいた。その作風を面白がって真似た大勢の人々により多数の類似動画が投稿された結果「HIKAKIN氏の動画を素材に下品な改変をした動画」という「ジャンル」としてHikakin Maniaが成立している。通称ヒカマニ。
これもかなりの下品さを誇るジャンルではあるが、淫夢とは一切関係なく、カテゴリも「その他」ではなく「エンターテイメント」または「未設定」である事が多く、淫夢に詳しい人でもヒカマニは観たことがない、という人は珍しくない。実際に視聴した時の感覚は淫夢よりはゼEROを観た時に近い。
淫夢は素材からクッソ汚い事が多いが、ゼEROやヒカマニは素材は汚くないが無理やり下ネタを導入しようとしている事から雰囲気が似てくるのかもしれない。
コメントでも【マニア】というワードを出して反応している人がちょこちょこいる。

「下品だなあ、そうに決まってる」のフレーズそのものはHIKAKINが「青鬼」を実況している動画より。
青鬼の登場人物タケシの発言「全員あの化け物にケツから食われちまうんだ そうに決まってる!」をHIKAKINが読み上げつつリアクションを挟んだ結果として「ケツから食われちまうんだ」(読み上げ) →「ケツから? 下品だなあ」(HIKAKINの感想) → 「そうに決まってる」(読み上げ)という形になり、後半の「下品だなあ そうに決まってる」が切り取られ【何かを下品と決めつけるHIKAKIN】という使われ方をされるようになった。
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絶対にありません 確信しています

これも「Hikakin Mania」より。フレーズ自体はHIKAKIN氏が2020年3月に投稿した「卒業式が出来なかったみんなへ、ヒカキンより」という動画から。
2020年3月といえば、コロナ禍初期の誰もがどう対応すればいいかわかっていなかった頃で、普通の学校生活を送っていた多くの学生達が突然の休校要請によりまともに卒業式も出来なかったという時期、そんな学生達を慰めるべく力強い激励と祝辞を送る動画を投稿したHIKAKIN氏は人間の鑑である。
しかしそんな素晴らしい動画もカスみたいな改変をしてしまうのがヒカマニなのである。特に以下の否定キン動画が好き。
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元々は「卒業式を送ることが出来なかったからといって皆が友達と過ごしてきた時間、築いてきた絆が無くなるなんて絶対にありません」「仲間との絆はより強いものになると確信しています」という真っ当でポジティブな発言である。

ホイホイチャーハン どういうことなの

「本格的 ガチムチパンツレスリング」より。
ただのカツカレーに更にチャーハンを導入するためにはホイホイチャーハンの力が必要だったのだ。

満足できねえぜ

遊☆戯☆王ファイブディーズ」の鬼柳京介より。淫夢とは無関係。
といっても、私自身は遊戯王ニワカであり、大昔に遊戯王MAD観てただけの人間なのであんまり詳しくない。
全然遊戯王やらないのに何故か解説動画やデュエル動画を謎にちょいちょい視聴しているため用語にだけ反応出来るという変な耳年増人間と化している。

贅沢って奴はさ、小出しはダメなんだ

賭博黙示録カイジ」のハンチョウこと大槻の発言。淫夢とは無関係。

問題ない、2000キロカロリーまでなら

「バキ」烈海王が川の上を無理やり走りながら言った「問題はない!! 15mまでなら!!!」の改変。淫夢とは無関係。
残念ながらご飯や油や肉の量からざっくり計算しても少なくとも2500kcalくらいのカロリーにはなった。1日1500kcal以内で頑張ってる時期だったので1食で2日分くらいのカロリー摂取をしたことになる。

アーモウメチャクチャダヨ

「あーもうメチャクチャだよ」というフレーズそのものは「BABYLON STAGE 35 大人の事件簿」の野獣父より*14

しかし、使用した音声の詳細は少々込み入っている。
まず、淫夢好きとしてよく知られた声優の杉田智和氏が、料理旅番組*15の吹き替えを担当した際に淫夢語録を乱発するという暴挙に出た事があり、この番組の音声が特に有名な素材になっているのだが、この吹き替えの中に「あーもうメチャクチャだよ!」という発言が含まれている。
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使用した音声「アーモウメチャクチャダヨ」は日本のネットカルチャーにやたら詳しいフィンランド人のTomi Laurinen氏の発言である。
「ですコン(Desucon)」というフィンランドのアニメ・漫画ファンのためのイベントが存在し、そこでTomi Laurinen氏とBenjamin Altin氏が「例のアレ」についてまとめたスライドを発表する、という講演があったのだが、講演の中で上記の杉田智和氏を紹介する場面がありTomi Laurinen氏はどうやら「杉田智和氏による淫夢営業」の例として「アーモウメチャクチャダヨ」という言葉を放っている。
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淫夢」→「有名声優による吹き替え」→「フィンランド人の講演」という2回のロンダリングを経由しているので「これは淫夢ではない」と主張出来るんじゃないかな……ダメかな……

改めて考えると凄いと思うなあ

syamu_gameによる熱い自画自賛
オフ会0人で一世を風靡した大物Youtuberであり、淫夢ではないが例のアレ枠だ。何故オフ会に誰も来なかった時点で嫌にならずそれを動画にしてUPしたのかは謎だが、とにかくこの一件で有名になり、その後も色々あって激しくネットのオモチャにされたり、その注目度を巡って色々あったりした。

ンーーー、改めて考えると凄いな、って思うなあ。俺はやっぱ。凄いなあと思うなあ。
サムネも作れるしさ、曲も作れちゃうし、ほんでー動画も編集できるでしょ?
ほんでー、さらには小説も執筆してるって?
ほんでー、撮影・収録も一人でやってるって?
なかなかできないよ、そういうことは。なかなか難しいと思うよそういうことは。
そういうクリエイティブな人はなっかなかいないと思うよ。

クオリティが伴ってないので馬鹿にされまくってるが、実際やってみる人はそれほど多くないのでそこは素直に凄いと思う。*16
この一連の自画自賛は詠唱のようなもので「今作ってるこの料理はsyamu_gameに関係していますよ」という宣言、種明かしに相当する。勘の良い人はチャーハンを作り始めたあたり、もっと早ければトンカツを一口サイズにカットしたあたりで気付いたかもしれない。
「カレーやチャーハンで淫夢レスリングをカスりながら最終的にsyamu_gameに着地するのは流れとして悪くなかろう」「syamuさんは全部冷凍食品かレトルトを利用していたので、私は可能な限り生鮮食品から作ってみよう」という発想だ。*17
https://www.nicovideo.jp/watch/sm27636439www.nicovideo.jp
参考にした動画の3:15あたりから「丼に盛ったチャーハンの上に1つ1つトンカツを盛り付けていく」というシーンがあるのだが、周囲から埋めるように円状に配置していき、円状に配置したために真ん中が空き、最後の1つを置くのに丁度いい空間が出来ている形になり、多くの視聴者は最後の1つを真ん中にスポッと置く事を予想する。そこまで「真ん中やろなあ」というコメントが乱れ飛んでいるのだが、syamuさんは大方の予想を裏切り、他のトンカツの上に置き真ん中を空けたままにする。これに対して「!?」「は?」「おお」などのコメントが乱れ飛ぶ、という流れがネタになっている。
私もそれを再現する形で盛りつけた結果【真ん中やろなあ→は?】コメントで応えてくれる人が現れたので嬉しい。

きっと特別な存在なのだと思いました

キャラメルキャンディ「ヴェルタースオリジナル」のCMより。淫夢とは無関係。
syamuさん風の自画自賛ばかり続くとあれだなと思ったが、短くすると尺が足りなかったので別の形の自画自賛を持ってくる事になった。
やっぱりニコニコのミームを扱うならドナルドかヴェルタースオリジナルねるねるねるねあたりは持ってきておきたい。

そうだそうだと言っています

元ネタはゴジラシリーズの映画『三大怪獣 地球最大の決戦』における「ラドンもそうだそうだと言っています」 淫夢とは無関係。
「そうだよ(便乗)」だと淫夢になってしまうし短すぎるし「ワイトもそう思います」もやや短かったので少し長いものを導入したかった。
これはどちらかというとニコニコではなくTwitter*18で「汎用性の高い画像」として使われてきたネタという印象がある。

こうして私たちの元に届けられる

ザ・メイキングの字幕解説の締めとして多用されるフレーズ。
ニコニコで「こうして○○は作られる」という形で締められた回は「私たちのもとに届けろ」と怒りのコメントが付くこともある。

こんなに作ってどうすんだよ

ザ・メイキングにて、食品を始めとした製品を一人で消費しきれないほど大量に製造してるシーンに付きがちだったコメント。
工場だから出荷販売するに決まってんだろ。ただ、最近はこのコメントあんま見ない気もする。

わずかな時間を見つけて もう嬉しくって感動で

エア本さん。例のアレを取り上げるのであればその元祖であるエア本さんに触れないわけにはいかないだろう。
どちらも「すばらしきわが人生 Part2」より。
「わずかな時間を見つけて」はグルメレースMADの「わずかな時間を見つけてマイレボリューションする」という使い方が特に有名か。

うん! うんうん…… はい

「うん、おいしい!」という語録に今更配慮し始める。本当に今更w

おいしいけど、おいしい

syamu_gameがパルムを食べて放った一言。
オフ会0人と引っかけて情報量がゼロであるとネタにされる。
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すっごく爽やかな存在

漫画「孤独のグルメ」の第一話より。豚肉主体の料理ばかりを注文してしまった中で、ナスのおしんこを評して。
一応料理動画だから、という事でラストは最後の理性を振り絞って真面目に食レポをしており、引用するネタはちゃんと(?)グルメ漫画からにした。

死のうかな

ザ・メイキング動画に付きがちなコメント。
まず「淫夢ネタをカッコいい映像作品にした動画につきがちなコメント」として「俺もホモビに出ようかな」というものがあった。自分もホモビに出ればカッコいい映像作品になれるかもしれないというわけだが、この割に合わないコメントがウケて定番フレーズとなったもの。
これを踏まえてザ・メイキングの最後のおさらいパートで(工場の仕組みに感心したニュアンスで)「俺も○○工場で働いてみようかな」といったコメントがついた時期があった。しかし、素直な工場への賞賛の意図のコメントがついていたのは初期だけで、結局あらゆる工場に対して「俺もホモビに出ようかな」と無関係にホモビに出たがるコメントやどんどん捻ってネタに走ってメチャクチャな「○○しようかな」系のコメントが大量に付く形に発展(?)していった。この発展が進み、何故か何もかも嫌になってしまった人によって「○○しようかな」の○○に「死」が入った「死のうかな」というコメントが付くようになり、動画の最後だけでなく最初のほうにも「死のうかな」というコメントで溢れかえるという意味不明な展開を見せた。
工場見学の動画の冒頭に死にたがってるコメントが溢れている光景はハッキリいって異常だが、経緯を知ればなんとなく理解出来なくもないはずだ。

これ何の動画?

ザ・メイキング動画の終盤にいる、何も見ておらず理解もしない視聴者風のコメント。
科学技術振興機構の人も悲しくて泣いているだろう。

終わりに

それなりに頑張ってネタを詰め込んだものの、まだまだ詰められた感じはある。
例のアレオールスター感を出したとは言いつつ、恒心教、aiueo700といった危険度が高めのものには踏み込めてないし、今やほぼ存在が失われたケツピンあたりに触れられなかったのもちょっと片手落ちっぽいし「この動画は電通案件らしい」みたいなカスの嘘も混ぜてみたかった。
あとBGMは神社に頼ったけど、NONA REEVES流しても良かったかもしんないし全然無関係にカブトボーグとか入れてもよかったかもしんない。
東山源次なんかも結構淫夢扱いされてたなあ。あと文脈に無関係に乱入させられる要素としてブライガー剛竜馬あたりを投入するのもアリといえばアリだった。
「いつしか雨は止み、そこには虹がかかるんだよなあ」とかも入れられるもんなら入れたかったけど無理だった。
QVC福島はアクロさんがネタにする予定らしかったので触れなかった。

入れたかったネタを全部詰め込むのはやっぱり難しいんだよね。テンポとか流れとかがあるからね、しょうがないね。

もう二度とこんな遊びはしないと思うが、読んだ人にとって何かの参考になれば幸いである。*19

*1:実際投稿されて面白かった

*2:余談として、こういう企画でご一緒しておいてこういった事を言うのもなんだが、ヤシャグサさんはボイロに寄せるよりも元々の作風の方が生き生きしてると感じたし、実際に最近は再度淫夢に寄せて頑張っておられるようだ

*3:そういえばりょの字さんに理由を訊いてない。

*4:最近は公式がちゃんと配信してたり実況のためのガイドラインやライセンスも整備されてきたのでだいぶクリーンになったが、初期はかなりアウト寄りのグレーであった

*5:これは仁義や素材作者への還元という気持ちも大いにあるが、素材を明示していると私の動画をパロディしてくれる人が真似しやすいという嬉しい副次効果もあった

*6:ぼすきーは、そういう意味で私にとって愉快なドブとして機能するポテンシャルを秘めているが、今のところは稼いでないから単に身銭を切っているだけだ

*7:もっと細かい経緯もあるのだが大体そんな感じだ

*8:オット! 今はXだったかな……フフ……

*9:オット! 今はXだったかな……フフ……

*10:結構おつらいシーンで出たシリアスなセリフ

*11:本当にアレがマジレス氏の写真なのかはよくわからないが

*12:キミキス」のキャラである水澤摩央

*13:オット! 今はXだったかな……フフ……

*14:有名な「許してくださいなんでもしますから」が出るのと同じ作品だが章が異なる

*15:ナショナル ジオグラフィック「旅するシェフの仰天レシピ」

*16:拙くても出していけるのは才能なのだ。もうちょっとフィードバックに対する謙虚さがあれば真っ当に伸びたんじゃないかな……と思う事もある。

*17:syamuさんに対してクオリティで勝負しに行こうとするのはだいぶ性格が悪い気がするが、そうは言っても私も大して料理は上手くないし出来上がりの見栄えは大差無いんだよな。それはこの動画のオチの1つとも言える

*18:オット! 今はXだったかな……フフ……

*19:何の参考にもなるわけがない

管理人の反省記録 ぼすきー2年目に向けて

顔を持つ者に名前は要らない。
歌を持つ物に景色は要らない。
声を持つ者には使命が在った。
羨ましい。神には言葉しか無いのに。

ぼすきー Advent Calendar

25日目の窓を開いて

この記事はuboar(ウボァー)さんが主宰してくださった「ぼすきー Advent Calendar 2023」の参加記事です。

かつては参加表明している方もそれほど多くなく、記事を書きたい人が他にいないなら……ということで、私は管理人である事だし、最後に「ぼすきーを運営してきての簡単な振り返り」でも書けば良い感じの締めになるだろう、と25日を担当する事にした。なんか遅刻してない?

そしたら思ったより書きたい人は沢山いたらしく、とか3枠目とかがいつの間にか増えた。どうなってんだ?

話題の性質上、この記事はほとんど全て、振り返りの形を借りた自分語りになりそうだが、ご容赦の上、お付き合い願いたい。
ぼすきー語りと称して自分語りをお出しできるのは管理人の特権ですねえ。

Advent Calendarって何だよ

そもそもアドベント(ADVENT)とは、元々はクリスマスを待つ期間を意味する。キリスト教の宗教的な行事である。
この期間の日付を数えるために窓の付いた形のカレンダーを用意し、1日に1つずつ窓を開けてクリスマスを待つ。これがアドベントカレンダーである。
今でも宗教色の強いアドベントカレンダーはあるが、世俗化した現代においてはクリスマスをワクワク楽しみにしながら1日1個ずつ開けていくような*1季節の行事を楽しむためのアイテムとして親しまれている。

娯楽用のアドベントカレンダー(Wikipediaより:CC 表示 2.5 Andrea Schaufler)

そして何故かインターネットにおいては、これを元ネタとして「特定のテーマに沿って12月に(多くは複数人によるリレー形式で)毎日1つずつ記事を書く」という企画文化として定着している。通称アドカレ。
かつてはIT技術者の界隈で広まった企画文化だった。私が最初にアドカレを見たのはRuby Advent Calendarのどれかだったと記憶している。もう10年以上前の事だったはずだ(おじいちゃん)
今でも主に技術者界隈の文化という感じだが、単にリレーで記事を書くだけならテーマは何でもよいから、ぼすきーのアドカレがあってもよいわけだ。
しかし、自分が開設したWebサイトをテーマにしたアドカレを誰かが作ってくれるだなんて想像もしていなかったな。

アドベント(ADVENT)の語源であるラテン語アドベントゥス(ADVENTUS)は「来臨」「到来」を意味する。クリスマスは神の生誕を祝うものなのだから、ADVENTは神を待つ期間なのである。


しかし、お伝えしなければならない事がある。今日、神は来ない。
ぼすきーに神はいないからだ。

(2023/02) ツイタマの死。Misskeyとの出会い。

サードパーティはもう終わったよ!

当時、私がTwitter*2以外のSNSの利用を検討し始めたのは、サードパーティ*3のクライアントが利用出来なくなったのがきっかけであった。
Androidユーザーの私は「ツイタマ」というクライアントを8年以上愛用しており、公式クライアントはほぼ利用せず、ツイタマでばかり閲覧していた。ツイタマは私にとって脳の一部だった。恐らくだが、TwitterがXになろうが、スパムゾンビが湧こうが、サードパーティ製のクライアントに広告表示が義務付けられる事になろうが、ツイタマさえ健在なら私はぼすきーを開設しようと思わなかっただろう事は断言出来る。
ツイタマが死に、Twitterを見る時間は激減した。それぐらい大きい存在だった。知らなかったなあ……私は馬が変わるよりも鞍が変わる事に苦しむタイプの騎手だったか。

ツイタマ for Android (https://twitter.softama.comより)

Misskey.ioの熱気

同時期、Misskey、Bluesky、Nostr(Damus)といった他のSNSの噂を聞くようになった。そういえばMastodonも以前流行った頃に少しやったっけか。
その流れでなんとなくMisskey.ioにアカウントを登録した。
そこで見たのは、絵文字リアクションやローカルタイムラインの活発さ、日本人の運営との距離が近い感じ。死ぬほどお金を溶かす村上さん。なんか唸ってるしゅいろさん。人の増加に混乱しているライブ感。核実験する与謝野晶子レターパックで現金を送る事を要求する。にゃんぷっぷー。全ての質感が私の好みだった。なにやら愉快な場所だな。そう思った。

Twitterをどうしよう

私は、別にTwitterが嫌いになったわけではなかった。サードパーティ製のクライアントや自由なAPIは、お金も払わず広告すら見ずタダでTwitterの資源を利用しているようなものだと理解していたから、酷く苦痛ではあるものの、禁止される事に納得は出来た。*4*5
イーロン・マスクによる買収のような大きなイベントがあれば、当然一時的にガタが来るだろう事は予想出来たから、例えTwitter上で騒がれていても、そのうち落ち着くだろうと受容出来た。
運営方針が変わって、有料化や収益化といった様々なシステムを導入するという流れも、ある程度理解は出来た。変な凍結や政治の話題のゴタゴタはいつもの事だし、なんやかんやみんなTwitterに残るだろうと思った。企業公式のアカウントもいっぱいあるしね。
結局のところ、真のコンテンツは人なのだ。場がどれだけ変化しても面白い人が留まり続ける限りTwitterは死なない。
私がTwitterから距離を置いたのは、あくまでツイタマが死んだショックのせいだった。

(2023/03) 爆破鯖の経験と、ぼすきーの公開

学びのためにサーバー開設を

Misskeyは分散型のSNSで、なんとMastodonなど他のプラットフォームともやりとりが出来るようだ……という事をMisskey.ioを利用している中でぼんやりと理解してきた。
どうやら個人でもサーバーを立てる事は可能らしい。なんと「おひとり様」なる自分専用のインスタンスを持つ文化などもあるようだ。
つまり、私にもサーバーを立てられるという事だ。
それなら、試しに立ててみようかな……
私は職業IT技術者だが、はっきり言えば地味な上に潰しの聞かない分野の業務を何年も続けている。趣味でやっていたのはゲームプログラミングだった。そして大学での専攻は経済と法律だった。少なくとも学生時代、情報技術に関する指導は全く受けていない。全て独学だった。*6
要は持っている技術が凄く偏っていたし、特にWebに関する分野の知見は素人と大差無かった。
Misskeyは楽しいし、実際に動くWebサイトを運営すれば有無を言わさずWeb分野の勉強をするきっかけになるだろう。
動画投稿でもやたら投稿祭にばかり出しているのは、締め切りを外部から与えて欲しいからというのが大きい。根拠の無い大見得を切って、死ぬほど後悔しながら締め切りに追われる。一部の同人作家さんかな? でも私の本性は常にこれだ。怠惰で臆病だから、刃を突きつけられ続けないと身体が動かないのだ。
きっと今動かなければ一生Web系の知識は聞き齧りで、わかっているようでわかってない薄っぺらい理解しか出来てないレベルで終わるだろう。
それは嫌だな。私は10年以上、Twitterで技術者達が愉快な話をするのを見てきた。動画投稿者の界隈よりもむしろウォッチしている期間は長い。
私は、愉快な人達の世界観を詳しく理解するために学びたいのだった。

期間限定! 爆破鯖

そういうわけでMisskeyサーバー*7を立てられないか、という機運を勝手に高めている時期に、Twitterで相互であるいとーじさんがMisskeyサーバーを立てるという話を見かけた。*8
渡りに船だったのでしばらくお邪魔させて頂き、Misskey.ioとは異なり人の少ないスローなサーバーを体験した。ぼんやりサーバーを立てたいなと夢想してる程度だったのが、爆破鯖の経験から急激に具体的になっていった事を覚えている。

爆破鯖は長期の維持は何かと大変だろうという考えから、2月に開設され3月には閉鎖(つまり、爆破)する前提の期間限定サーバーであった。
なるほど、ならば私は長期間の運営が出来るように頑張ってみる方向でサーバーを作ってみるか……そうして長期間運営する上で必要そうな技術知識を仕入れに動き始めた。
LinuxGithub、Docker、Postgres、Redis、Nginx、Node.js、Typescript、Cloudflare、全部ふんわり知ってるが実践的な詳細まで知らない。きっとちゃんと体系的に勉強してきた人ならそれほど苦労も無いのだろうな。しかし私とて基礎ぐらいある。2週間で習得してくれるわ!*9

今思えば、技術はともかくコミュニティの運営について何も(本当に何も!)考えていなかったのが痛い。そういうのはなんとかなると考えていた。どちらかというとそっちの方が断然大変なのに。「人がいっぱいいる」という状態の難しさをナメすぎである。

「ぼ」いすのみすきー

私が立てるサーバーのジャンルは、やはり投稿者なのだから合成音声ジャンルになるだろう。合成音声ジャンルに物凄く詳しいわけではないが、そういう人たちが楽しめる場所になればいいな。
合成音声全体に関するふんわりしたサーバー……ボイロ? ボカロ? 色々なソフトやキャラが出てきて混沌とした時期だったが、共通してるのは「声」だろうか。VoiceのMisskeyということで、Voskeyという名前にしよう。アホっぽくしたいから正式名称はひらがなの「ぼすきー」だ。

爆破鯖は、予定通りに爆破された。
私は「後継ってわけでもないですが、私もサーバーを作りますよ」と、いとーじさんに対して宣言していたため、爆破鯖が爆破される前に公開したかったのだが、結局、私の技術不足や作業の遅さから、爆破鯖が爆破されて少し経ってからの公開となった。
3/28に、Twitterに投稿する。

(2023/04 - 06) 目的も意思も持たないサーバー

無の荒野に……立て、タカハシ!

早速だが、私は、ぼすきーが一体何なのかわかっていなかった。
何なのかと言われても、そもそも本当に目的無しに立てていたのだから、ぼすきーは何者でもなかった。単に「開設して、ぼちぼち続けて、勉強しよう!」というしょうもない個人的な動機だったために、コンテンツと言えるものも何もないし、宣伝もほとんどしていなかった。大きなコミュニティを築いてやろうとかTwitterの代わりになろうという野心も無かった。サーバー代を払って好き勝手に勉強するのに誰かが付き合ってくれれば嬉しいな、というぐらいの気持ちだった。
人が集まるのは正直怖かった。けれどフラッと集まってくれた人たちが話をしているのを見るのはやっぱり素朴に嬉しかった。

ごく初期の唯一のコンテンツといえば、タカハシの立ち絵が横向きになっている絵文字こと:takahashi_fankit:だった。
とにかくタカハシはただ存在するだけで面白く、タカハシを利用したMFMアートは爽やかな笑いを提供してくれた。タカハシ、なんと頼りになるお兄さんなんだ……「新規登録者にはタカハシの絵文字を投げつける」という「ウェルカムタカハシ」の文化がぼすきー上に自然に形成されたのは一歩引いて考えると結構異常だが、ずっとそこにいた身としてはとても自然な事のように思えた。

何言ってんだこいつ(タカハシはCeVIO公式ファンキットより、akane_yayとaoi_yayはアドカレ主催のuboarさん作)

https://voskey.icalo.net/notes/9d9jtjp8by

ぼすきーの「ぼ」って「ぼんやり」の「ぼ」?

それから、少しずつ口コミで拡がったのか、色々な人がやってくるようになった。
人が増えてくると、色々な問題が出てくる。特に初期に問題になったのが(今でもだが)R18に関する扱いだった。

イカロ個人は「エロは苦手ではない、むしろ正直好き」「でもそればかりだとちょっとな、エロい気分の時とそうでもない時は区別したい」ぐらいの感覚の人間で、TwitterでTLにいきなりR18が流れてきても「まあいいか」という態度だ。しかし、ぼすきーにはローカルという多くの人が共通で見ているTLが存在する関係上、ゾーニングがほぼ働いておらず、その上で未成年のユーザーや性的なネタを苦手とするユーザーも多くいる。この状況は問題だった。
更に、ぼすきーを設置しているサーバーは、曖昧で簡素な記述ではあるが、規約上はアダルトコンテンツが禁止となっていた。
実際のところ、レンタルサーバー側は「違法スレスレなアダルトサイトやポルノサイトに使って欲しくない」という意図で記述しただけで、創作活動のカジュアルなエロまで厳しく禁止したいかというと実際の所はそんな事ないのではないかと思う。しかしそれは私の憶測に過ぎない。「禁止」と明確に書いてある以上、従うか、強い意志を持って何かしらの理論武装をして「ここまではセーフだ!」とある程度逆らいつつゾーニングを整備するかを決定しなければならない。

当時の私はそんな労力をかけられず「レンタルサーバーの規約なんで、そんな厳しく言いたくないんですけど、とりあえずエロはNGってことで……」と雑に安易な方向に流れてしまった。しかしこのせいで当時のぼすきーは荒れに荒れた。
「エロとは何か?」「どこまではOKなのか?」「具体的にどういうのがNGなのか?」「絵はダメなのか?」「文字はダメなのか? 隠せばいいのか?」「単なる下ネタや猥談もダメなのか?」「誰が判定するのか?」「pixivのR18コンテンツへの誘導は?」「違反したらどうなるのか?」
合成音声のキャラクターには美少女が多く、その創作においてエモとエロの表現は近接している。キャラを愛でる気持ちや概念に焼かれる情念とある種の性欲の境界はとても曖昧だ。コミケにもエロ同人が溢れているし、エロは確かに創作の強い原動力なのだ。
私は「規約上禁止という事にしたが、しかし本音を言えば創作に関することを制限したくない」という素直な気持ちを開陳していたが、これもよくなかった。
ユーザーは「結局禁止なの?」「本音としては構わないなら投稿していいの?」というのが判断出来ず、イカロの曖昧で煮え切れない態度に耐えかねて、自分の好みの状態にぼすきーを近づけるための綱引きを始めた。「別にこれくらいならセーフだろ」「いいや、規約違反が原因でぼすきーが消えたら困る」
特に「レンタルサーバーの規約違反でぼすきーが消えては困る」というのがエロ表現をした人を責める大義名分として使われていたのは良くなかった。私の望むところではなかった。それは善意や正義ではあったが、しかしそれでも他人を責めたり喧嘩しないで欲しかった。別にレンタルサーバーに追い出されようが引っ越せばいいのだから争わないで欲しい。ただただ荒れて欲しくなかった。しかしそうなる原因の根本は私の曖昧な態度にあるのだから自業自得だ。情けない。

ぼすきーの方針は曖昧で、問題が起こってから規約を追加していくような後手後手の対応だった。それは2023年12月現在でも根本的な所では変わっていない。
私は禁止禁止とするのが好きではなく、ラインを明確に引くと厳しい側に寄せざるをえなくて、曖昧なら許容出来たはずの部分を切り捨てざるをえなくなる事が嫌だったし、怖かった。ある程度曖昧にして運営側の恣意的なジャッジを入れる余地を作りたかった。
しかし、恣意的なジャッジというのは毎回真剣に迷わないといけないという事を意味する。決断のたびに精神に負荷がかかる。
臆病で優柔不断な私は、涙目になってあーだこーだ考えながらも、長い間何も決断する事が出来なかった。なんも考えていないのと同じだった。常にその場しのぎの対応を続けて勝手に疲弊していた。

ある程度追加した今も規約は本当にぼんやりしている。
私は、ぼすきーが一体何なのかわかっていなかった。

オイオイなんだ!? このぼんやりしたアイコンは。
それなりの偉業

色んな人が絵文字をぼすきーに提供してくださってる中で、ぼすきーというかMisskeyの定番である「偉業」絵文字のバリエーションとして「それなりの偉業」という絵文字が申請された。
荒れがちだった当時の雰囲気に苦しんでいた事もあり、真剣に悩んだ。
ストレートな罵倒やチクチク言葉ならリアクションを付ける人も意図を持って付けるのだからかえって問題にならないだろう。しかし「それなりの偉業」は「結構いいじゃん」と軽く褒める意図でリアクションをつけて、付けられた側が「頑張ったのに"それなり"扱いをされた……」と傷つく「すれ違い」が起こる可能性が考えられるな…… などと大真面目に考えた。今振り返ると絵文字1つに考えすぎな気もする。
対策として「リアクションとして使えないようにしよう」と思い「それな」「りの」「偉業」に分割する、という強硬手段に出た。

りのについてはなんとかしてください

https://voskey.icalo.net/notes/9e1difrdu5

すると、この「りの」をなんとかしようと、ぼ民達は、そういう名前のキャラクターの幻覚を見始めた。
そして「偉業りの」というキャラクターが出来る。なんやここは。ニュー速VIPか?
私は、ぼすきーが一体何なのかわかっていなかった。

MYCOEIROINKにもなったりのちゃん。色んな方が絵や声を創ってくださった。

https://korokoroishikor.booth.pm/items/4767764

この流れは創作を是とする私にとって心から嬉しく、感動するものだった。
しかし、同時に考えていた問題と衝突していた事もあって、悶絶することになる。

内輪ノリはどこまで

私は、ぼすきーが一体何なのかわかっていなかった。
しかし、確実に言えるのは「Twitterではない」そして「Discordではない」ということだった。
消去法によるアイデンティティ。しかし私はその確立に必死だった。今思えば、これは欲や焦りだったかもしれない。

内輪ネタならクローズドなDiscordでやればいい。ならばMisskeyサーバーであるぼすきーは、ある程度オープンである事をアイデンティティにするべきではないのか?
であれば、あまりに内輪ノリが定着すると新規の人が入りにくくなるから、出来るだけ避けたい。
その方向なら、なるべくメジャーなキャラを扱ったりすべきではないか? けれど、ユーザーモデルで独自のキャラを運営している人達もいる。誰かの渾身の一次創作を無碍にはしたくないし、それは創作の拡がりというものだ。でも絵文字登録作業に無限に手間がかかったり無制限にキャラを受け入れると収拾がつかなくなるんじゃないのか? 私はそれを受け容れられるだけの力なんて持ってないのに!

そんな事を考えてる時期に現れたのがりのちゃんである。
りのちゃんフィーバーはしばらく続き、その間はぼすきーにおいて、ずっとりのちゃんの話題が続いていた。内輪ネタの極みだ。
「合成音声のサーバーに来てみたら、謎のオリキャラについて延々と語っている」だって? そんな事が許されるのか?
私はその創作の営みの素晴らしさと、あまりに限定的な内輪ネタであるという事実の板挟みにあい、りのちゃんに対する態度をどうするか悩んだ。
悩みすぎて吐いた。これは実際に吐いた。少し遠出して食べに行ったリンガーハットのちゃんぽんを会社のトイレで戻した事を今でも鮮明に思い出せる。

結局、サラッと触れた上でりのちゃんの存在はなるべく事務的に流す事にしたのだった。
でも今は謝りたい。産まれてきてくれて嬉しかったのに無視しちゃったこと。
ごめん、りのちゃん。

神の名の下に

4月の時点で既に、私はサーバーの創設者である事から「神」と呼ばれる事が常態化していた。
これは正直言ってカルト宗教みたいな感じが強すぎるのでだいぶ嫌だった。敬意を向けられるのは嬉しいが、私はその敬意に見合うだけの力を持っておらず、返す事が出来ない。それに外の人から見たらこのノリには引く所があるだろう。「イカロが神とか呼ばせて調子こいてる」と周囲に思われたら嫌だなあとも感じていた。
「ある程度オープンである事」をアイデンティティにするとぼんやりと考え始めたが故に、これについてもどう対応しようか悩んだ。

一応、それなりに嫌がってると言うことは発言してみたが……楽しく管理人を神と呼んでネタにしている事に水を差したくもない。私は他人の楽しみに水を差すのが嫌だ。であれば、ちゃんと神をやらねばならない気がしてきてしまった*10
私にとって神とは何だろう? 理でも情でも救われぬ子羊に愛を注ぐ者? 己を虚しくして身を捧ぐ者?

ある程度「公」でなければならないだろう。そのためには自我が邪魔だな、と思った。
利益を得てはいけない。我欲を出してはいけない。交友してはいけない。距離が近すぎてはいけない。冷酷でもいけない。
何かの悪口を言ってはいけない。これは当然だ。誰かの好きを否定して傷付ける事になるから。かといって何かを熱く褒めてもいけない。悪口だけでなく「自分が嫌いなものを好きな人がいる」という事実にも人は傷付くから。苦しみを表明してもいけない。愚痴を言ってもいけない。ただ不安で不快にさせるだけなのだから。悪口を言ったり愚痴を言う人を責めてもいけない。人はその荷を解き放つ場所を求めているのだから。

であれば、私に許された発言はそれほど多くない。単なる事実・鳴き声・ボケ・配慮。これは挑戦だな。

そうやなす
お酒飲んだことなし

https://voskey.icalo.net/notes/9fjk36tcl2
https://voskey.icalo.net/notes/9fjojwp6hh
https://voskey.icalo.net/notes/9fjp0hy57c
https://voskey.icalo.net/notes/9fjpsomzeu
そんなムチャクチャを方針に持って活動していた結果、6月頃にはだいぶ限界が来て死にそうになっていた。
で、旧友と飲みに行ってしこたま吞みまくり、色々な本音が漏れてしまっている。
力不足と優先順位を付けられず、バランスを取れない事を情けないと思い、本当はもっと馴れ馴れしくしてみたいのに距離を置いてるが、それが逆に傷付けていないか不安になる。メンヘラすぎる……どうなってんだ?

「感動はどうした?」と謎に言ってしまったのもこの時だ。
結局、自分は感動のために生きているという事を再確認して何かの指針にしようとしていたのかもしれないし、別に全然そんなことなく単に言いたかっただけなのかもしれない。
でも実際感動しないといけないですよ。コスパやタイパを重視する世の中ですが、パって感動の事ですからね、皆さん。節約の結果、感動が減るようでは話になりませんよォーッ!!

(2023/07 - 08) 目的無いのにでっかくなっちゃった!

API制限ショック!!!

忘れもしない2023年7月2日。
Twitterにて「API呼び出しの回数制限を超えました」という表示になり全然ツイートが読めないという状況が発生。
他のSNSに避難民が殺到した。Misskey.ioや ぼすきーも例外ではなく、物凄い数の新規登録者が流入した。アクティブ人口は倍以上になった。
対応してる最中はアドレナリンが出ていたのか集中して作業出来ていたが、冷静になって「とんでもないことになってきたぞ」と、またも不安に圧し潰されそうになったりしていた。
Twitterが復活すれば多くの人は戻っていくだろうと予想していたが、Twitterが復帰せずにこの状況が続いたらどうなってしまうのか?
公式系の人が参加したりもしていた。冷や汗が止まらない。ぼすきーは特にローカルで流れが速く、宣伝には向かない所があるし、当時はドライブ容量も貧弱だった。広報のルートを支えられるのか……? ああ、私がぼすきーを開設していなければ迷わずMisskey.ioにアカウントを作っていた人も大勢いたんだろう。そっちのほうが幸せだったに違いない。くそ。
レンタルサーバーの性能はスケールアップし、オブジェクトストレージを慌てて導入してドライブ容量を確保したが、それでも十分ではなかった。
私という個人ではインフラになれない。じゃあどうすればいいのか……
私は、ぼすきーが一体何なのかわかっていなかった。

公式系や有名人に対しては「管理人です~」などと話しかけたりせず、話題にもなるべく出さず、リアクションも控えたりした。
これは「公」であろうと意識していたのもあるが「ぼすきーは期待していた機能を果たせない」事に気付いて恐らく去っていく未来を容易に想像出来たためだった。出来れば後腐れなく去って欲しいし、私も「ああ、来なくなったな」と意識して悲しくなりたくなかった。この態度で「歓迎されてないな」と感じさせて悲しませていたらそれはそれで不本意だが、結果的には良かったんじゃないだろうか。


とか思ってたけど、もち子さん公式やついなちゃん公式は未だに当たり前みたいにちょくちょくぼすきーに来てくれていたりする。「なんでまだ来てるんだこいつら……?」と困惑しつつも、内心喜んでいたりする。凄いバイタリティだ。Twitter*11のサブ扱いだとしても、きっと運用は大変だろう。やめてくれよ好きになっちゃうから……

テック蛮族どもの皆さん!!!

闇のインターネットメガコーポであるさくらインターネットが支援するポッドキャスト "backspace.fm"が運営する汎用サーバー、BackspaceKey、通称ばすきーとの交友が出来たのも7月の前半頃であった。
当時のばすきーは蛮族のようにカオスで意味不明なユーザーに絵文字登録権を開放するなどの民主的な運営のサーバーであったが、そのせいでぼすきーの絵文字のいくつかが勝手にインポートされるといった事態が発生していたのだった。
「絵文字が勝手に使われてるようなのですが」という通報を受けた時は「ついにこの時が来たか……!」と思った。Misskeyの機能的にある程度予想できた事ではあったのだ。権利関係について厳密に扱おうにも、インターネット上で「コピー」を防ぐ事は純粋に難しく、管理者であっても他サーバーの領域に対して取れる対応手段は限られる。

幸い、ばすきー管理者のKanaruさんはとてもしっかりとされた方で、この件について連絡をした所、とても誠実に対応してくださった。絵文字を勝手に使った人にも悪意は無かったようだ。とはいえ悪意なく出来てしまう仕組みはトラブルのもとだな、と思いつつ、この件については丸く収める事が出来た。
絵文字の権利関係を曖昧なまま進めていた事が表面化したということだ。実効的に他サーバーでの利用をコントロールする仕組みをどの程度構築出来るかはわからないが、少なくともユーザーにリスクを周知し、仕組みを整える必要があると感じた。
これも後手後手だが、結局私は大した知性を持たないので現実にトラブルに直面するまで「どうすべきか」がリアルにイメージ出来ないのだ。
この一件がその後の絵文字関係のライセンス周りの整理に影響を与える事になった。この後も私は権利関係で悩み続ける事になる。

ばすきーの皆さんとは、今でもちょいちょい交流があり、たまに謎の文化交換が発生している。
分散型SNSも色々大変だけど、こういうのを見るとやっぱり面白いな、と感じるのだった。

通報と敵意

人が増えて、以前にも増して通報が増えるようになった。
Twitterの通報機能がどうなってるかは知らないが、Misskeyの通報機能については簡単に説明出来る。「運営にお手紙が届く」基本的にはそれだけである。その後の対応は運営に委ねられる。つまり、モデレータがいなかった時期は全部イカロにメッセージが届いていただけだった。
通報の半分ほどは規約などに則った指摘やスパム対応など。残りの半分は「あいつが暴言を吐いている」「あいつが悪口を言っている」といった内容の報告である。
正直、後者についてはそれで私に何をして欲しいんだ、という気持ちであった。一緒にその人を責めて欲しいのだろうか? どうして個人的な嫌悪感情にイカロを巻き込もうとするのか? 管理業務で個人的に一番キツいのがこれであった。喧嘩に巻き込もうとしないで欲しい。ミュートブロックで対応して欲しい。スルーしてしまう事も多かったが、一応軽く対応する事もちょこちょこあった。ただ極端に厳しい対応をしたことはいまだ一度もない。
通報は少なくとも読まないと「対応済み」に出来ないので「誰が誰の事を怒っている」といった情報を私が個人的かつ強制的に意識せざるを得ない。そういった敵意を浴びすぎて、私視点だと常に大勢のユーザーが互いに怒り狂っているように見えてしまうのだった。特に7月の流入期はそういうのが多かったように記憶している。
とはいえ、とはいえだ。「こんなつまらん事で通報するな」と私が怒るのも違うんじゃないか? 私が通報を躊躇させるような発言をするのはどうなんだ? 単に私だけが黙って判断して捌けば済むのだ……当時の私はそう考えていた。
でもよく考えたらあの頃もアクティブ200人程度の規模だったんだよな。9割がミュートブロックで対応してくれても、イカロ1人で残りの20人の争いの調停に入る必要がある計算だ。荒れた学校の教員みたいなものだ。

モデレーターを缶に詰めようかな

そもそも私はAPI制限による流入で人が増える以前からだいぶ孤独で限界に近かった。
そこにスッとやってきて色々と支援をしてくださったのが、みそさんであった。みそさんは問題になりそうな所を把握し、整理し、草案を作ってくれ、何より私の考えを物凄く的確に理解してくれた。しかも私に不足しているLinuxやWeb系の技術に関する造詣も深かった。
「な、なんでこんな優れた人材が私を無償で支援してくれるのか……??????」と完全に困惑していたが、疲れ切った私は完全にみそさんを頼りにしまくっていた。

みそさんは「自分だけがイカロさんに直接意見を出せるのは不健全だから」と、モデレータを増やそうと提案した。恐ろしく真っ当な提案だが、運営側に人を増やせば不確定要素が増える。恐ろしく怖すぎる。私は誰かに頼るのが苦手だ。上手く人を信用して任せる度量が無いだけだが、出来るだけ自分だけでやってしまおうとする。しかし、API制限ショックでユーザーが増えたのでそうも言ってられなくなった。
とりあえず他サーバー(nicomedkey.cc)管理者で「モデレータ募集するなら立候補しよっかな~」などと言ってたウボァーさん(このアドカレの主催でもある)は直接スカウトして缶詰にして*12、他の方は公募する事にした。

迂闊な事いうと缶詰にするぞ

https://voskey.icalo.net/notes/9horzgmafj

すると20人以上の応募者が集まった。「人が多ければ除外していいっすよ」と言ってる人は遠慮なく除外したり、ぼすきーにいる時間がばらけるようにしたが、選ぶのが本当にしんどいのでかなりダイスに頼った。*13結局追加で5名採用し、みそさんとウボァーさんを加えて7名のモデレーター+イカロで運営していく感じになった。
voskey.icalo.net

結果として、どうだったのか?
モデレーターの皆さんは、ちょっとイカロには勿体ないくらいとてつもなく良い仕事をしてくださっている。
具体的に言い出すと凄い長さになりそうなので止めておくが本当に感謝している。
特に9月以降は、もはやモデレータの皆さんがいないと完全に回っていなかっただろう。頼り切りだ。感謝してもし切れない。
クリティカルな決断はイカロが目を通してGOを出したりしているが、モデレータの皆さんは自発的に考えて色々動いてくださっていたりする。*14
モデレータはボランティアだ。私は何の報酬も出していない。本来働かないのがデフォルトなのだ。ぼ民の皆さんは私はともかくモデレータの皆さんには感謝するのがよろしいですことよ。対応が遅くてもマジで優しくしてあげて欲しい。

(2023/09) 仕事の増加と体調の限界

「何の判断もしたくないしSNSも見たくない期」

しばらくモデレータの皆さんに指示を出したりしていたが、9月に入ると、助けてくれる人が複数いる状況で安心したからか、反動でピキピキと心が折れ始める。
同時に、仕事の業務が増え始めた。4月~8月はかなり落ち着いていたのだが、10月以降から年度半期の境界で色々状況が変わり、若干前倒しで9月から忙しくなり始めていた。
純粋に死ぬほど忙しいというほどではなかったが、正直ぼすきーの管理と両立するのは厳しい感じだった。いや、どうだろう。わからない。業務量が増えたのを言い訳に「何の判断もしたくないしSNSも見たくない期」に入ってしまう事を正当化したかったのかもしれない。まあ実際、帰宅即就寝みたいな生活だったからだいぶしんどかったのだが、スマホぐらいは見ようと思えば見れただろう。ただ私はツラすぎて通知を切ってしまっていた。ぼすきーだけでなく、TwitterやDiscordのアイコンを見るだけで吐き気がした。何も考えたくなかった。
私は、ぼすきーが一体何なのかわからないままだった。
ただ、この時期、モデレータの皆さんは不安だっただろう。本当に申し訳ない。焼肉とか奢った方がいいっすか?

ボイスコネクト3へ

9/30開催のボイスコネクト3にも行けるかどうか微妙な所だった(これは業務的にもメンタル的にも)が、普通に休みを取れたので飛行機の予約は取り消さずに済んだ。
長いこと放置して気まずかった。一応冷静に考えたら普通に仕事のせいではあるが、主観的には単にサボっていたような気分だった。とりあえずモデレータの皆さんに詫び、なんとか復活した。

ボイスコネクト3では、実際にみそさんにお会いできた。お礼と謝罪をしてその後、お酒を飲んだりした。何人かのぼすきー関係の人にも会った。ただ、大勢のぼ民が集まってる空間にはどうしても近付けなかった。「あ、あの格好、あの人達かぁ」と思いながら心臓をバクバクさせ産業プラザの横の空間を通り過ぎた。
まったく、これでは神ではなく無だ。しかし神というのは虚なのかもしれない。己を虚しくして。


感動はどうした?

(2023/10-11) 低空飛行と動画投稿者としての復帰

考えを改め動画投稿し太郎

多くの人に迷惑をかけて、ボイスコネクトの刺激を受けて、考えを改めつつある。やはり神をやるのは無理だ。もうちょっと気楽にやらないと壊れる。
というか「勝手に無理して勝手に壊れる」は会社でも既にやらかして病院送りの経験済みなのだ。流石に経験をセルフ管理メントに活かさねばなるまい。
そもそも、誰に望まれたわけでもない部分で信じがたいほど無駄に苦しんでいるのがバカすぎる。もうちょっと有意義に苦しみたいよね。

「気楽にやる」の実践ということで、動画投稿を再開してみようと思った。
管理業務の大部分は引き続きモデレータの皆さんに甘えつつ、久々に編集作業をするのだ。
(今考えるともっと他にやる事があるだろうという気もしたが、これをやり遂げないと他の事が出来ないように感じられた)

そうして出来上がったのがこれである。
www.nicovideo.jp
気楽にと考えてた割には我ながらバランス崩壊と力みっぷりが酷い動画だ。
「ちょっと具体的にCOEIROINKを紹介する感じの動画にしたら喜ぶ人が多いかな」という素朴な発想から始めたのだが、アレもやりたい、これもやりたいと思いついてハードルを上げ続けだいぶアレな事になった。無駄にお金もかかっている。
動画の7:00以降はもちろんだが、実は一番お金と手間がかかっているのはオマケの15秒だったりする。
何せMYCOEを作ったのだ。コンデンサマイクも買ったし、iZotope RXの使い方も勉強した。疑問文に対応するために652文を数日かけて収録し、全音声に対してノイズ除去を行い、Google Colaboratoryにも課金した。
別に自分の合成音声が欲しいわけではなかったが、ぼすきーにMYCOEを作ってる方が多かったから、理解するためにやってみるのは悪くないなと思った。
MYCOEが出来た時はちょっと面白くて感動したが、しかし、現状配布する気は無い。改めて「声に魅力が無いな……」と思ったし、自分の声はやっぱり苦手だ。あと配布したら皆さん悪用しますよね? あくまで私は今回の動画のためだけにこのMYCOEを作ったのだ。
もうちょっと余裕があれば多少凝った劇場をやるつもりだったが、全然余裕が無かった。11月半ばに熱出して寝込んでたのが痛い。動画の5:30以降のパートは、もうちょっと色んなMYCOEの人達を紹介する予定であった。可能ならりのちゃんも使いたかった。やりたい事を全て詰め込めなくて悲しい。本当にギリギリに投稿してこれだ。でも締め切りのパワーに頼っている以上、こういう事態は受け入れなければいけない。
あと関係ないがこの頃、地味に家族と長期間激しく喧嘩していた。11月はこれがキツかった。

もっと力抜けよ

流石にそろそろ反省すべきだ。結局気楽に出来てない。
振り返ってみるとわかるが、昨今のイカロは、ずっと力み続けている。不必要に全力を出し続けている。隠してる実力など全然無く、ネットに出ているのが私の全てだ。あの程度で? 無論あの程度が全力だ。全力出さないと感動出来ないし感動出来なきゃ何やっててもしょうがねえだろ。しょうがねえことねえだろアホ。いい加減そういうのやめたら? 流石にもういいトシなのだから、ほどほどのペースでコンスタントに続けるやり方を覚えないといけない。
だいたい神ってなんだよ、神になる事を目指すとあなたも狂います。やがて狂いたい人向けにオススメの目標、それが神だ。あるいは目指そうとした時点で狂ってるのかもしれないが、少なくとも私はずっと正常なつもりで2023年を生きてきた。
しかしこのままでは2024年を生き抜ける気がしないので、どう考えても方針転換が必要です。もっと肩の力を抜きましょう。

今後のぼすきーについて

でも……楽しかったよね?

なんか最終的にめっちゃ苦しんでるような感じの書きっぷりになってきたが、2023年12月現在のイカロはあまり懲りておらず、別のアプローチでぼすきーを続ける気満々である。酷い目に遭うのは動画作ってる時も似たようなものだし、ここで辞めては勿体ない。
思い知ったのは、私は「ほどほど」が超苦手という事だ。壊滅的だ。しかしそれを身に付ける必要性に迫られている。身に着けよう2024年。

2024年のぼすきーは「ほどほど」でいく。
まずは長続きする場を目指します。

意識して神である事は辞めていく。そもそもなんでこんなアホな方針が立ってるんだ? 愚かすぎる。本当にどうしようもないな。
「公」を意識することも一旦やめる。イカロの個人的な好みやワガママが出るようになるかもしれない。また、言動のカス度も上がると思われるがご了承願いたい。継続出来るよう、肩の力を抜くつもりなので、ダラダラしたりつまんなかったり対応が遅かったりする事もありそうだが……別にこれは今までと大差無いかもしれん。今までも遅かったからね。どうだろう? まあモデレーターの皆さんが頑張ってくれるよね!!!

ぼすきーが一体何なのか今でもよくわかっていない。そもそも私が決めてないのだから、ぼすきーは何者でもないように見えた。
皆さんにとってはどうですか?




アドベント(ADVENT)の語源であるラテン語アドベントゥス(ADVENTUS)は「来臨」「到来」を意味する。
クリスマスは神の生誕を祝うものなのだから、ADVENTは神を待つ期間なのである。


しかし、お伝えしなければならない事がある。今日、神は来ない。
ぼすきーに神はいないからだ。

今はくたびれたコアラが在るのみ。

*1:窓を開くと、なんと可愛らしいイラストや美味しいお菓子が出てきちゃうのだ!

*2:もちろん当時はTwitterだった

*3:Twitter公式と無関係の個人や組織が独自に開発した、という意味

*4:出来る事なら「有料プランならサードパーティクライアントを使える」みたいな形になってくれれば、と期待していた事はあるが、現実的には色んな抜け道が残るだろうし制御困難だから一律禁止以外の選択肢は無かったのだろう

*5:様々なサードパーティのツールがTwitterの集客に繋がっていたのに、ユーザが増えたら切り捨てるのか、という批判は別に存在するが、私は単に利用していただけの人間なのでなんとも言えない

*6:というか就職してからも概ね独学だ。OJTって奴だネ!

*7:当時はまだインスタンスという名前でも呼ばれていた

*8:いとーじさんとは物凄く親交があるというわけではなく、基本的には私がいとーじさんの曲や企画(「ぼいろあんさんぶる」「うたえぼ」等)の一方的なファンという感じ

*9:3週間かかった。

*10:何故? いや……何故だろう

*11:オット! 今はXだったかな……フフ……

*12:管理人のアカウントがsavacanだったので、なんとなくみそさんをmisocanにして美味しそうだったということで。その流れで何故か「モデレーターは缶に詰める」という雰囲気が出来上がった

*13:ダイスに理由を押し付けても、協力を申し出てくれる方々を拒否るのは結構つらい

*14:もちろん、モデレーターの行動だろうが何だろうが最終的な責任はイカロにある。

自作の動画の話:ハイ、どうぞ!

www.nicovideo.jp

「ハイ、どうぞ!」という名前の缶詰を使った料理の動画。
2020缶詰祭に投稿した。主催はNagiさん。

祭自体の元ネタとなっているのはNagiさんの「○○で炊き込みご飯」シリーズである。
半分以上は「缶詰で炊き込みご飯」であるため東北きりかんとも呼ばれていた(缶詰の次に多いのは瓶詰で、たまに鍋の素なんかの時もある)
ごはんのおかずにして旨い缶詰を一緒に炊き込めば当然旨い。お手軽で真似してみたくなるのも魅力だ。
Nagiさんはこの後にも「悪いことしましょう♪」といったインパクトのあるシリーズを出していたが「『(シリーズ名)の人』と呼ばれるのは嬉しいけど、でもそれを塗り替えるような別のシリーズを始めたくなる」といった事を語っておられた。私も全煮に関しては近い感情があるし、そういうものなのかもしれない。

火山杯の缶詰

nlab.itmedia.co.jp
「ハイ、どうぞ!」は火山杯の缶詰である。
鹿児島県の桜島から降り注いだ灰を振るいにかけて缶に詰めた、言ってしまえばジョークグッズだ。
お土産としてこんな缶詰を貰ったらそこそこ処分に困る。「火山灰が存在するだけで結構困る」という苦悩を体験として伝えたいという事らしい。迷惑だが印象に残る面白いコンセプトだ。

改めて地図で桜島を見ると、県庁所在地である鹿児島市との異常な近さに笑ってしまう。そりゃ灰も降る。*1
これほどの活火山がそばにある大都市はイタリアのナポリぐらいだろうか? どっちもそこそこ最近噴火で死者まで出ているファンキーな都市である。やっぱ薩摩の連中ってイカれてんだな……と思いそうになったがよく考えたら肥後の連中も阿蘇山カルデラの中に牧場とか温泉とか営んでるのでこの点はどっこいかもしれない。*2

缶詰と料理の選定

「缶詰を使って料理」というお題だが、例によって私の料理スキルは低くネタを仕込もうとばかり考えていたので「缶詰自体が変」というのは方向性の1つとして必然的に浮かんだ。
しかし、変わった缶詰といっても、熊本県民が手に入れられる珍しい缶詰など通販で揃えられる程度のものしか無さそうだ。本当にニッチで珍しいものというのは基本的には東京や大阪のような大都会に集まるものだ。「ちょっと珍しい食材」程度ではインパクトにも乏しいし、そもそも珍しい食材を適切に扱えるだろうか?

悩んでいた時、缶詰祭の告知動画で「火山灰の缶詰や空気の缶詰あたりが来そう」というようなコメントを見かけた。ねとらぼでそんな記事*3を読んだ事があった気がする。
なるほどネタとしてはわかりやすいが、しかし一応キッチン動画なのだから料理という枠組みの中で真面目に作りたい気持ちもある。軸から外すユーモアというのは軸を明確に立ててこそ活きるものだし、そういう意味でも美味しいものを目指したい。

とはいえ、一応そのへんを題材にするとしたらどうなるか考えてみよう。
そういえば「缶詰を使って」という記述はあれど「缶詰の中にあるものを必ず食べなければならない」とは書いてないので、非食品の缶詰をちゃんとした調理の道具に用いる、というのは解として悪くない。何より意表を突ける……むしろ意表の突き方としてはありきたりかもしれないくらいだな。発想までは誰でも出来そうだ。

しかしそもそも、火山灰を料理に利用なんて可能なのか? 少し検索してみる。
灰ころがしや灰を含んだピザ、は、木・草など有機物を燃やして出来た灰を利用している。
火山灰は砂のようなもので無機物だから、灰という字は同じでも組成的には別物だ。有機物が酸化され尽くした灰であれば、焦げた食品とカテゴリ的には変わらない。しかし無機物は単純に吸収されないので舌でも物理的な刺激しか感じる事は出来ない。*4
性質が違いすぎるので、灰ではなくあくまで「火山灰」のレシピでなければ通用しないだろう。

……などと考えながら探してたら意外と早い段階で出てきた。鹿児島には桜島灰干しというものがあるそうだ。
なんだ、郷土料理として定着してる程度には有名な料理が存在しているのか。であれば、ここまで辿り着く人は想像よりもかなり多いかもしれない。
といっても、手順もぼんやりとしか公開されてないし実際にこれを作ってみた事がある人はそれほどいないんじゃないか。

うーん、どうだろう……

  • 非食品の缶詰を用いる→火山灰干しを選定するという発想
  • 手順の明確でない料理を作り、動画化しようという気力がある
  • 実際に火山灰の缶詰を調達出来て手間や資金面のコストを受容出来る

1つ2つはクリア出来ても、全てをクリア出来る人はいないのではないか? これなら被ったりする危険は無いのではないか? イケるんじゃないか?
「おつまみ」を作れという祭で「塩」を生成する動画を投稿した時も「発想自体はありきたりだから被るかも」と心配していたが杞憂だったではないか。*5
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ネタ被り

すると、見事にネタ被りしてしまった。
www.nicovideo.jp
「たかお@変なキッチン」さんである。シンガポール等のインドシナ方面? の料理動画を主に投稿されていた方だが、突然火山灰料理を投稿されていた。
ボイロ勢ではないが、はっきり言うと料理の旨そうさも映像の美しさでも明らかに私より氏の方が上である。あと投稿タイミングも先だ。
デカいサーモン、キッチンペーパーで綺麗に処理され油の輝きまで綺麗に映ってる映像、そして色調の暖かさ。*6 明らかに負けたと感じた。
投稿前に左上の緑枠書いてるあたりで存在に気付き「う、うわー、やっちまったー!」と思ったものである。

ネタは被ったけれど

「独自路線の変なネタをやって驚かせねばならない」という強迫観念に捕らわれて奇行を繰り返していた私にとって、この「ネタ被り」は非常に大きなミスだと感じ、とても憂鬱だった。しかし視聴者や周囲の投稿者の反応は違った。
少し考えればわかる事だが「火山灰の缶詰を利用して干物を作ろうとした動画が、別々の2人の投稿者からほぼ同時期に投稿された」という事実は単にそれだけで面白い。古代の2ちゃんねるならケコーンと呼ばれてネタにされるものだ。自分の事なので気づくのが少し遅れたが、被る事で発生する面白みというのも存在するし、そして何より同じ題材を扱っても、作者が違えば全然違う動画・全然違う面白さになるのだ。
灰かぶっちゃった結婚などとも言われた。誰がうまいことを事を言えといった。

安易なネタで被っても面白い、よく考えて練ったネタが何故か偶然被るのはもっと面白い。「全くの新しい発想です!」と新規性を売りにお出ししている場合を除き、どちらかというとネタはむしろ被ったほうが面白いのである。*7

私はこの経験から、ネタが被ることそれ自体をあまり気にしなくなった。被ったらそれもまとめてネタにすればよい。自分の動画が単品として面白くなるように作りこみさえすれば、あとはどうにでなる。

取り上げて頂く

live.nicovideo.jp
投稿から2週間後、週刊ニコニコインフォ 第17号で この動画を取り上げて頂いた。
14:30時点から取り上げてもらっていた。久々に見返したなあ。

私は「バーチャルさんはみている」という、VTuberが沢山出てくる、ドワンゴ提供でニコニコみ溢れる謎のコメディ番組を以前に視聴していたのだが、百花繚乱氏はその番組の司会でもあったのでキャラを多少理解していた。
栗田代表の事はよく知らなかったが、私の動画に乗っかって軽いジョークをかましてくれたので好感を持ったものだった。

コメントとしては軽くボケをかましつつ、缶詰祭自体の宣伝と、その後に開催された謝米祭の宣伝を行っている。
缶詰祭主催のNagiさんや謝米祭主催の天ぷら饅頭さんに「宣伝して構わないか」と許可を取りに行くのに緊張したのを覚えている。

そして、被っちゃったお相手のたかおさんも、投稿から1年半以上後という不思議なタイミングでニコニコニュースで取り上げられていた。
どうしても火山灰缶詰の炎を絶やしたくない勢力がいるようだな。
originalnews.nico

しかし、とても良い経験・思い出になった。
動画投稿を通して繋がった縁というのが面白くて、自分にとっても大切なものなのだ、という事は漠然と感じていたが、この動画を境に強く意識し始めた所はある。

余談

缶詰の調達

ちなみに、鹿児島は隣県であるが、そう気軽に行けるほど熊本から近いわけでもない。
私は原付しか持っていないので高速道路も利用出来ない。休日を丸一日潰して鹿児島に行き缶詰を買って帰るか? 仮に鹿児島に行って道の駅や土産物屋を巡ったとしても必ず手に入るとは限らない。
あと時期的にはコロナの第二波が決定的に大流行していて、ワクチンもなく、まだ先行きも見えてなかった頃である。あんまり遠出もしたくない。

と、くれば通販だが、こんなローカルなものをネットで売っている場所があるか……? と検索してみたら、なんとメルカリで出品している人がいた。
鹿児島での定価は100円のところ、送料込み777円なり。一般的な需要は無いだろうし送料込みなら値段はこんなものだろう。自分で鹿児島に行けばガソリン代にも足りないのだから手に入るだけありがたい。
これを買うためだけにメルカリに登録し、それ以降すっかり利用していない。*8Twitterアカウントから作ろうとしたりメールアドレスとも紐づけようとしたり色々な手順で認証しようとしたせいで何かアカウントの登録が妙な事になり手間取った事を覚えている。

当時メルカリに出品されていたのはほとんどSOLDで、買えたのはこの1つだけだった。
試作のため、量のために2,3個くらい確保したかったのだが……という事で、今回の火山灰干しは試作なしの一発勝負である。
一緒に作った一夜干しの方は少し試作したが、試作の時点でほぼ完璧だった。簡単な割に旨いので動画と関係なく魚を干すのはオススメである。

実際の干物の感想

動画でも触れてるが、今回できた火山灰干しは、しっとりと言えば聞こえはいいが乾燥が足りていない。味は悪くなかったが干物感は無かった。
もっとちゃんとした容器で、もっと多くの灰で、あと不織布とセロハンは片方無くしてもっと積極的に灰に湿気を吸わせるようにした方が明らかに「干し」としてのクオリティが上がったはずである。セロハンもダイソーじゃなくて食品用を用意するのだ。
今なら確実にもっと上手くやれる気がする。機会があれば再挑戦したいが、わざわざ「やるぞ」という気力が湧くほどではない。微妙な気持である。

本当の余談(チャーハン動画の構想)

缶詰祭の後に、天ぷら饅頭さん主催の「謝米祭」、つまりコメをテーマとした祭……に投稿しようと思ってチャーハンを作る動画を10本以上撮影していたのだが、全てお蔵入りになり、1本も投稿出来ていない。
私のシリーズに動画を1本も含んでいない「チャーハン」というシリーズがあるのだが、それはこの名残である。
全煮以外のうまいフォーマットを思いつけなかったのが敗因。他にもかなりお蔵入りしたシリーズはある。

この頃になると「気合の入ったものを出さないとダメだ」と完璧主義が発動し、駄作を出す勇気が出てこなくて、作っては消しのスランプに陥っていた。
勢いで出して、それから展開するほうが明らかによいと全煮で学んだはずなのだが。
また、仕事が忙しくなった事も重なり、この動画が投稿された2020/10/10から半年後の2021/5/5のN1グランプリまで、キッチン動画を投稿していない期間となったのだった。

*1:この缶詰は鹿児島市ではなく桜島を挟んでむかいにある垂水市で作られたものだが距離的には大差ない

*2:亡くなった祖父は阿蘇に暮らしていたのだが、遊びにいった時は壁に火山防災マップが貼ってあったのが印象的だった。これくらいの噴火が起こったら石はこれくらい、灰はこれくらいの地点まで飛ぶ、という地図があるのだ

*3:この日記の冒頭からリンクしているもの

*4:ミネラルって普通は砂より圧倒的に細かい粒子が食品に溶けたものを食べるものだ。伏見さんは琥珀を食べていたが、琥珀は樹液の塊なので何気に有機物枠だったりする

*5:これはネタでもなんでもなく海水を調達出来るなら実行も容易なので1人は出ると本気で思っていた

*6:この時点の私は「色調補正」という概念すら知らなかった

*7:明確に前後関係があってパロディやオマージュとしてやるという場合や、技術研究やRTAなど競争的要素が含まれている場合は、また違った文脈になる

*8:何故か? 大体のものは楽天で買っているためだ。でもまあ変なものを手に入れたくなったらまた利用する事もあるかもしれない

21世紀初頭、ネット回線やFLASHの想い出

前回の記事でFLASHに触れて楽しかったので
インターネット老人らしく昔の思い出でも語ってみようかな。

ネット老人

私がネットを本格的に始めたのは丁度2000年頃で、いわゆるブロードバンドが普及し始めた頃だ。
あの高速ネットワークの衝撃をリアルタイムに体験した中では最も若い世代なんじゃないだろうか。
当時はチビッ子で、駄々をこねて父のPCを借りてネットをしていた。

いわゆる「パソコン通信」のような神話の時代は流石に知らないし、PC-98といった国産マシンに触れた事もないので、その頃に活動してた仙人達に比べたら若輩者もいいところだ。
(神話の時代はそもそもネット人口というか絶対数自体が少ないはずだが、仙人達は経験値が凄くて目立つので、探そうと思えば割とすぐ見つかる)

それと、2000年初頭は10代の子供がインターネットに書き込む事自体が割と珍しい事だった。
ネット掲示板やチャットなどで交流する際に年齢を書くと「わ、若い……」と毎回驚かれた。
逆に40代以上もさほど多くない感じで、いたとしたら学者とか専門家の方だった。
当時のネットの多数派は大学生~30代前後の若手社会人という感じの方が多かったように思う。

昔の回線の話

昔はPCの性能以上に回線が貧弱だったので、大容量の動画をネットで配信するのは実現困難な事だった。
だからネットで動画を扱うためには回線速度の高速化を待たねばならなかった。

FLASHというフォーマットが流行り始めた2001年頃は日本でブロードバンドというものが本格的に普及を始めた年でもある。
ブロードバンドとは何か? 直訳すると広い帯域。段違いの高速なインターネット通信を意味する言葉で、それまでの貧弱で狭い帯域を利用する通信はナローバンドと呼ばれた。
今のネットは速いのが当たり前なのでブロードバンドという言葉を聴く機会は逆にほとんど無くなった。

ナローバンドの時代

ナローバンドの時代は光ファイバーではなくメタルケーブル(銅線)に音声信号を通す電話網を利用した「ダイヤルアップ通信」が一般的で、ネットに接続してる間ずっとアクセスポイントへの通話料がかかった。
固定電話は通話先との距離が遠いほど料金がかかるので、普通は市内にアクセスポイントを持っているプロバイダと契約してそこを経由してインターネットに繋いでいた。調べた感じ、当時も今も市内通話は3分10円とかのようだ。
つまり2時間ネットに繋ぐたびに1,200円かかるわけだ。毎日4時間ネットに接続×30日なら計72,000円。市内にアクセスポイントが無い場合は泣く泣く市外に接続したらしいが、その場合は2倍とか3倍かかったという話だ。
しかもこれだけ金がかかった上で、今では考えられないレベルでカスみたいな低速だった。アナログモデムで最高56kbps 今どきの携帯電話大手の回線で容量を使い切った後の速度制限モードが128kbpsとかなので、その半分以下がご家庭におけるネット回線のMAXだったのだ。56kbpsというのはツイッターの縮小されたアイコン(概ね40KB以下)画像を1枚ダウンロードするのに5秒以上かかる世界だ*1

あとついでに、ダイヤルアップでネットに接続している間は「通話中」になってしまうので電話が使えなくなるという問題もあった。
当時は1人1つの電話など持っておらず、電話というのは「家」単位に設置されるものだった。
友達の家に遊びにいくから連絡しようと思って電話をかけたら親が電話に出るので取り次いで貰うとかそういうのが普通だった。
なので、家でネットしてる奴がいると家族にかかってくる電話を受けられない、電話をかけたいからネット接続を一旦切ってくれ……これも普通だったらしい。

流石にあまりに不便だったので、1995年に深夜の間だけ月固定の料金で繋ぎ放題になる「テレホーダイ」なんてものが登場したし
1999年には遂に月額固定料金で使い放題の「フレッツISDN」が登場し、使った量に応じて払わされる料金体系は去った(携帯電話の時代に戻ってきた)
ただ、デジタル化されてダイヤルアップよりは速かったものの、ISDNは電話網に過ぎないので正直遅かった。確か128kbpsで、ようやく速度制限されたスマホに並んだ程度。
我が家も「ISDNはじめちゃん」とかいうCMを見て父がISDNを導入し始めた思い出がある。父は趣味人で新しいもの好きだったのだ。
www.youtube.com

ブロードバンドの時代

ダイヤルアップやISDNと比べて劇的に高速な通信サービスであるADSLの登場から、大きく世界が変わった。
ADSLの速さの秘密は理屈だけを言えばシンプルで、あくまで電話がベースであるダイヤルアップは通話でやりとりする音声の周波数(0.3kHz - 3.4kHz)しか通信に利用していなかったが、銅線は素材的にはもっと高い周波数(初期でも1104kHz、後に約4倍)の電気信号も普通に流すことが出来たのでその帯域を利用したのだ。
後から理屈だけ聞けば、最初から高い周波数も使えば良かったじゃん? と感じてしまうが、高い周波数の電気信号を上手く処理出来る通信機器の実現には高性能なチップや技術研究が必要なので、そう簡単な話では無かったみたいだ。

なんにせよ、ADSLで劇的にネット回線は早くなった。ダウンロードなら調子が良ければ1Mbpsとか出るようになったのである。
ダイヤルアップの56kbpsと比べると実に約18倍で、ISDNで表示するのに毎回10秒待っていた大きな画像を1秒で表示する事ができた。*2
これは革命的なスピードアップだった。

後にADSLの技術も進歩し、更に光ファイバーという根本的に銅線より速いケーブルへの置き換えも同時に進んでいったので、今の光回線なら当たり前のように実効速度で100Mbpsとか普通に出る、つまりこの革命的に早いと喜んだ初期ADSLより更に100倍以上速くなった。桁違いだ。
そういう意味ではADSLの登場は序章に過ぎなかったと言えるのかもしれないが……しかし、ISDNADSLの時の10倍級のスピードアップを超えるほどの衝撃は感じなかった気がする。何故だろう?

ADSL以後の高速化は2000年代初頭から2020年までかけて「なんかいつの間にか早くなってた」みたいな感覚が強い。
多分、回線の高速化に合わせて画像や動画もドンドン大容量になっていったので「画像はサッと表示できるけど動画は読み込みに少し時間がかかる」という体感が基本的に変わってなかったからじゃないだろうか。

しかし、確かに高速化する回線や処理速度に支えられて個人のWebサイトはBlogやSNSになり、スマホが登場し、FLASHはmp4の動画になった。
質の大きな変化に気を取られて、じつは量が凄まじく増えている事を見落としていたという事かもしれない。
今、改めてニコニコの初期の動画を視聴してみると画質が想像以上に粗くてビックリする。ニコニコの都合で強制的に再エンコされて荒れたという事もあるだろうが、根本的に初期の動画は解像度が驚くほど低い。
レッツゴー!陰陽師」とか480*360しかない。参考までに、私が投稿した動画は全て1920*1080なので面積で12倍ある。
全ての私の動画に「レッツゴー!陰陽師」を横に4枚、縦に3枚の計12枚を重ねる事が出来ると考えると頭がクラクラしてくる。なにそれ??
改めて、ずいぶんと好き放題にリソースが使える時代に投稿者になったものだ。

FLASHというフォーマットについて

現在ニコニコやYoutubeで主流のmp4形式のように全フレームの画像を並べた映像を圧縮するのではなく、図形や小さな画像を計算によって各PCで動かして描画するのを得意としていたのがFLASHだ。

時代と容量

現代の動画は3分程度の尺でも当たり前のように100MBを超えるし、長編なら1GBを超える事も珍しくない*3
しかし、計算式や動きのデータは映像と違い軽量だったので、各PCがいちいち計算する方式であれば動きのあるコンテンツを10MB以下みたいな低容量で表現出来たのだ。というかFLASHで10MBを超える作品はそうそう無かった。1MBを切るものも珍しくない。*4
この容量はISDNでも5分待てば、ADSLなら1分以内に大抵のFLASH作品を再生可能になるという事で絶妙なラインだった。

FLASHはブロードバンド時代の初期、まだ1Mbpsがせいぜいの時代に、だからこそ重宝されたフォーマットだったと思う。
ナローバンドでも視聴出来なくはないが待ち時間が長く、現代においては純粋な映像をそのまま圧縮すれば済む。
ネットワークの高速化と共に台頭し、ネットワークの高速化によって役目を終えたみたいな感じだ。

FLASH映像の技法

写真のような画像は解像度の限界でガビガビになりがちだが、拡大しても粗が目立ちにくいシンプルな造形のキャラ*5のパーツを腕や胴体など分けてそれぞれ角度を変えたり拡大縮小して動かせば低容量ながらダイナミックな映像になり、そういった手法が多用された。
また、円や四角形などのベクター図形は完全に各PC側で計算によって描画されるため解像度や容量の問題が無かった。ベクター図形を組み合わせた美しいエフェクトもこれまたよく利用された。

これらの手法は現代に、aviutlその他のソフトで映像を作る場合にも変わらず通用すると思う。手間が物凄いだけで。
今はもっと楽な手法や強力なソフトが登場してるが、「編集が凄い!」と言われるような映像を作るアマチュアの戦い方ってそのへん変わらないのかもしれない。

FLASH黄金時代

そういった技を活用して作られた見事な映像作品や、逆にあんまり活用しないでガビッガビの画像をそのまま利用するなどした投げやりでシュールなお馬鹿作品が活発に作成され、当時のネットユーザーはそれらの作品を大いに楽しんだ。いわゆるFLASH黄金時代である。
FLASHは動画のためだけの形式というわけではなく、マウスで押せるボタンやキーボードによる操作、HTTP通信などの多様な機能を持っていたため「ゲーム」や「動きのあるWebページ」も作れた。FLASH黄金時代には動画だけでなくブラウザ上で楽しめるゲームも多数作成された。
もちろん、アマチュアの娯楽に限らず、企業による公式サイトやPRでも「美しく動く見栄えのいいWebページ」の実現に利用されていた。

というかそもそもニコニコやYoutubeも初期は動画プレイヤーとしてFLASHを利用していた。*6投稿者が上げる動画もFLASHのコンテナであるFLV形式が主だった。mp4をコンテナフォーマットとして選べるようになってからも、プレイヤー部分はしばらくFLASHであった。

衰退

多機能で便利なFLASHだったが、多機能さ複雑さ故にセキュリティ的な穴が相当あったらしく、しかもAdobe社の独自形式であるために対処もしづらいとかでWeb系のエンジニアがFLASHにキレている場面は定期的に見かけた。*7
決定的だったのはスマホ時代の到来で、特にiPhoneはセキュリティ的に危険な上に動作は重いわ操作もスマホ向きでないわという事でFLASHを速攻で排除し、Androidもそれに続いた。
自社サイトにFLASHを利用していた企業も「スマホユーザーには見えない公式サイト」になるのは嫌だったので急いでHTML5への置き換えを進めたし、そもそもAdobe社自身もFLASHのサポートは手に負えない状態で「はやくプラグインをアンインストールしてくれ」と勧告するほどであった。
こうしてFLASHを一般に見かける機会はほぼ無くなった。*8


ぶっちゃけ、スマホの時代にはYoutubeやニコニコのような動画サイトも既に存在が定着して今更感があるくらいだったし、録画したちょっとした動画を気軽にWebに投げるようなサービスもTiktok以前からポコポコ興っていたし
純粋な映像作品のためのFLASHというのはもう必要ないよね、というのはそうだろう。

ただ、FLASHってインタラクティブだったよなあ、というのはたまに思う。
ゲームも作れるようなフォーマットだから当然なんだけどクリックに反応したり、その結果映像が変化したり展開が分岐したりっていう「とらぶるうぃんどうず」みたいな作品とか、他にも触ってなくてもランダムで変化したり、映像が終了した後にもう一度再生を押してみるとオマケが再生されたり……みたいなギミックが盛り込まれてる作品があって、そういうのはとても楽しかった。
映像作品とゲームの境界が曖昧なFLASHという形態だからこそ出来た仕込みだったのかも。

現代でわざわざ動画投稿サイトではなくゲームやHTML5で動くWebページとして作品を公開したら「触ったら反応するギミック」があって当然となってしまうだろうし、逆に動画投稿サイトで入れられるギミックはそれほど多くない。
ニコスクリプトとかは多少あるけどこれもHTML5版になって昔より大幅に機能が減少した。昔はボタンとか作れたよね。
今のニコ生ではゲームを突然始めたりする事も出来るけど、これは生放送だしなあ。

私が知らないだけで、そういうFLASH的な精神を引き継ぐ動画サービスとかどこかに存在してるんだろうか?
あるのなら是非見てみたいな。多分無いような気がするけど……
ニコニコに今ある機能で何か仕掛けが出来ないものか、たまに考えてしまう。

*1:まあ当時は電話回線なので、今のネット回線の宣伝みたいに「最大○Gbps!」と宣伝しつつそれは理論値で実際にはその7割くらい出ればマシ……というようなベストエフォート式ではなく、56kbpsは割と安定して出るものだったようだ。ただ安定して遅くても嬉しくはない

*2:当時の主流のディスプレイの解像度はXGA(1024*768)で、つまりこれが壁紙の解像度だったが、これくらいの解像度の画像でも適切な圧縮をかけると100KB少々の容量に納まった。1Mbpsはつまり毎秒125KBのデータを落とせるという事なので結果1秒以内にダウンロード出来るという計算になる。そして実体験としても壁紙ぐらいの大きな画像をスッと表示出来て感動していた記憶がある

*3:CD-ROM一本分に入りきれないデータがホイホイ行き来してると改めて考えると気が遠くなりそうだ

*4:Nightmare Cityとか とらぶるうぃんどうずみたいに歌や映像が盛り込まれた作品でも10MBを超えてはいなかった

*5:2ちゃんねるのAA由来のキャラが扱われる事が多かった

*6:「原宿プレイヤー」と言えば古代のニコ厨は反応するかもしれない。2013年頃まで利用出来たプレイヤーはFLASH製で、HTML5製プレイヤーは当時は不安定な上に、見た目も慣れない事もあり「元に戻せ」という反応が散見された。私もHTML5に移る必要性は理解していたが、どうしても慣れないのでしばらく原宿を利用していた

*7:そういう人は当然InternetExplorerの独自拡張などにもキレていた。時代だなあ。

*8:映像作品は録画されたものがニコニコに転載されていたりするし、ゲームもその気になれば有志が独自に開発したプレイヤーで楽しむ事は普通に出来るのだが

自作の動画の話:WASABI

www.nicovideo.jp

WASABIである。
第一回スパイス祭に投稿した。主催はシャルさん。

開始~1分ちょいまでのパロディである部分が動画の本編であり、後でワサビを使った料理を食べてるパートはこう言ってはなんだがオマケだ。

パロディ部分について

冒頭の意味不明な映像はWASABIという有名なFLASH作品のパロディである。
そもそも若い人はFLASHという概念自体知らないかもしれない。大雑把に言えば大昔の動画ファイルの形式の1つだ。
動画以外にもゲームやWebサイトなど何にでも利用出来る万能形式だったのだが、万能さ故に複雑になりすぎたのかセキュリティがガタガタであった。
iPhoneはそれを嫌ってFLASHをサポートしない事を表明し、Androidもそれに続いた。
スマホ時代・大容量の動画が手軽に視聴できる時代の到来と共に公式サポートも終了し、現在では意図して視聴しようとしない限り目にする機会はまず無い。

元ネタのWASABI

ネット黎明期を駆け抜けたFLASH動画の、WASABIは初期も初期の作品である。
クレジットとしてCyrus Dern idea factoryというサークルか会社かの名前とCyrus氏のものと思われるメールアドレスが記載されており、元ネタからするに恐らくアメリカの方なのだろう。*1
日本製の有名な初期の作品である「片翼の田代」や大手であった「ドラサイト」の登場よりも時期的には少し前だ。
Hatten är din」なんかも時期が近かった気がするが細かい前後関係は覚えてないしこのへんは調べてもすぐ出てこない。何にせよここで挙げたタイトルは全て「FLASH黄金時代」と呼ばれる時代の開幕を告げる、相当初期の作品だ。
nico.ms

WASABIの内容は本当にシュールで、和食の料理人のような風貌の人物達がワサビー! ワ・サ・ビー!と様々なトーンで連呼する。
少し捻ってワサベーみたいな発音にしたみたり、末尾のビーを伸ばしてそこだけ各人物で切り取って繋げて ビービービーと謎のコンビネーションを見せたりする。
こうして書いてみると完全に意味不明だが、意味がわからなくても雰囲気が面白ければ流行るのがインターネットである。これは今でもそう。
独特の奇声が癖になって定期的に視聴する人もいたし(私がそう)、前述の「ドラサイト」の管理人はオリジナルのWASABIから音声を抜き出して素材にしてドラえもんのキャラクターを勝手に利用し「のび太が所有するワサビをドラえもんが踏みつけてのび太を悲しませる。のび太の悲しみをよそにドラえもんは足を拭くふきんを持ってこいと要求する」という意味不明な劇場動画を作成し、これもまた人気を博した。
いや流行った事実があるのだが、やっぱり書いてみると意味がわからないな。
nico.ms

元ネタのWASABIの元ネタ

この意味不明なFLASH動画の元ネタは、アメリカを代表するビールのブランドである「バドワイザー*2のCMである。CMの放送時期が2000年なので、FLASHの方は2000年後半から2001年頃の作品だと思われる。

このCMは元々"Wassup(ワザー)" つまり英語のカジュアルな挨拶 What's up(調子はどう?)を更に略したフランクな挨拶を連呼するという内容。
最初はダラーッと電話で「お前何やってる?」「ゲーム(スポーツの試合?)観ながらバドワイザー飲んでる」みたいなテンションの登場人物達だが、後ろからオモシロ黒人が登場し「ワザーッ!」と叫んでからは、なんか知らんがそのテンションを維持したまま登場人物全員がそれ以降の会話のほとんどを「ワザーッ!」で済ませてしまう。
仲の良い若者は、全てを語らなくても「ワザーッ!」の応酬とバドワイザーさえあれば互いを理解出来てしまうのだ……という話らしい。そんなわけないがどうやらそういう趣旨のCMなのだという。
このCMは人気があり、シリーズとして複数制作されている。その中の1つに「日本食料理店で主にスキンヘッドの白人男性と料理人がWassup(ワザー)の代わりにWASABI(ワサビ)と連呼する」という謎のバリエーションがあり、これがFLASH作品WASABIの直接の元ネタだったのだろう。

いやこれも書いてみて思ったけど意味不明じゃないか?

私はFLASH作品WASABIがCMの音源そのものを加工した音MAD的なものかと一時期思っていたのだが、実際によく聴き比べると結構違っている。
もしかすると音声は全く別から持ってきた(作者が収録した?)ものなのだろうか? もしくはYoutube上に転載されていない未知のWASABIがあり、それが素材なのだろうか? 謎だ。*3
youtu.be

WASABIの味わい

様々な技法が生まれる黄金時代以前の作品のためFLASH特有の粗さが丸出しである。
FLASHは図形を計算して描画するのは得意だが 写真のような複雑な画像はそうでもなく、容量の問題で映像は全体的にガビガビだ。
また、人物の写真1枚を無理やり口パクさせるために下あごのあたりを切り抜いてパーツを分けてパカパカ動かすという表現を用いている。これって人形劇というか「ひょっこりひょうたん島」みたいだよね。*4

映像的には単にセリフに合わせて謎の日本食料理人が口をパカパカ動かすだけだし
セリフもほとんど「WASABI」と連呼しているか、謎の奇声*5を放っているだけである。

2000年頃の人類はこんなものを何度も繰り返し見てはゲラゲラ笑うしかないほど娯楽が乏しかったのだろうか? と過去の自分を含めて思わず同情しそうになってしまうが、しかしこの7年後にも人類はランランルーとかフタエノキワミとか言ってる動画を観てゲラゲラ笑っていたしよく考えると大差無い。
現代になると多様化・分散してくるものの、量とスピードが爆増しただけで根本的にはさほど変わってない気もしてきた。

自作の動画について

初めて全煮のフォーマットを外した動画となったので結構思い入れがあったりする。
といっても、きりたん、葵ちゃん、ゆかりさんの立ち絵は全煮から続投で使わせて頂いているのでノリは大差無い。
後の動画では結構普通に喋ってる回も出てくるゆかりさんであるが、当時は「煮ない動画におけるゆかりさんの扱い」に まだ迷いが残っていたようで、冒頭のFLASHパロディ部分が終わったらさっさと退場して貰っている。
とはいえ「煮る事に執着する巨大な女」である事に起因した異常な印象はパロディ部分を担当して貰う事で保たれており、違和感はあんまり無い。
何より「今回煮ないしゆかりさんもあんまり興味無いだろうな」という事で私の中でも解釈一致の振る舞いであった。
こんなしょうもない動画シリーズでも、キャラクターの言動の一貫性・説得力というのは観た時の気持ちよさを左右するものだ。

WASABIをスパイスと言い張るまで

当時はとにかくネタとして奇をてらう事を重視していた事・料理知識が本当に乏しかった事・インターネット老人だった事でこの動画が生まれた。
「スパイス祭に投稿してみよう!」と思っても、そもそもスパイスの事を当時ロクに知りもしなかった*6し、まともな料理のアイデアも無かった。

私でも扱えて、スパイスと言い張れて、笑えるネタを仕込むことが出来て、何より意表を突ける……そんな題材は無いか?
意表を突く……スパイスというと異国感があるが例えば和のイメージが強いものを出すというのはどうだろう? 和風でスパイシーといえば、わさび……わさびと言えば、昔FLASHWASABIっていうわけわからん動画があったよな。
ここまで発想すれば後はもう作るだけだった。わさびという食材がカブる事はあってもパロディ内容までカブる事はまず無いだろう。令和やぞ。

パロディを頑張る

編集の方法は、1番奥のレイヤーに元ネタのFLASHを配置し、FLASHの登場人物の頭部にゆかりさんの立ち絵を重ねるクソコラ然としたものだったが、これしかないと思った。
新島先生の立ち絵には当然、口を開けた表情の差分が含まれているが、これはあえて使わず「口を閉じた表情の下あご部分だけを切り取り口内を完全に真っ黒に塗りつぶした絵」を加工して用意し、FLASHと同じくパカパカ2枚の画像を切り替える形で動かし再現する事にした。他人様の立ち絵の加工としてはなかなか酷い部類に入るが新島先生は現人神なのでなんとかなると思った。*7
口パクや顔の位置の移動は1フレーム単位で元ネタに合わせた。この手の作業は少々面倒だが失敗する事もあまりない。何も考えなくてもやればやるほど再現度が高まる単純作業は正直やってて気持ちがよかったと記憶している。

あとはゆかりさんにFLASHが放っている奇声を再現してもらうだけだ。もはや言葉としての意味ではなく「どう聴こえるか」だけを基準に忠実に再現するための調声は、これも楽しかった。
作業フォルダには今でも "あじゃわさび.wav" "ブッキンボンマイザ.wav"など、意味不明なファイル名が続く。

気が狂ったゆかりさんの発言ファイル
ボイロを扱った事がある人にはわかるだろうが、ファイル名に付いてるのは最初にとりあえず入力して読んでもらうフレーズで、実際にはそこからアクセントや高さ、タイミングはもちろん、読み方まで弄っていくので最終的には結構別物になる事もよくあるのだが、それにしたって酷い。
しかし、この「自分でも意味がわかってないので純粋に音を再現するために調声する」という体験はなかなか奥深く、やはり楽しかった。

あとBGMは珍しくコモンズのものを使っていない。
元ネタのFLASHと雰囲気を近づけたかったので尺八をメインに使ったものにしたくて探した覚えがある。
探して見つけたのが竹幻斎/笛忍者と呼ばれる、謎の黒人尺八奏者の方の楽曲"Shakuhachi Meditation"であった。ワォ……ゼン……
Flute Ninja's Bio 笛忍者の伝記

料理を頑張る

あとはもう実際の料理は好きなものを作ってわさびを使って食べるだけだった。
デケエ豆腐、刺身、蕎麦、海鮮丼、卵かけご飯というバカみたいなラインナップだ。
メニュー自体にさほど意外性が無いので種類を増やして最後に卵かけご飯という並び。自信がイマイチな時は量を用意して許して貰おうとする傾向があるな。
これら全てを昼~夕方頃のうちに食べた。かなり満腹だったが、何故か最後の卵かけご飯まで美味しく頂けた事を覚えている。わさびパワーだ。

あの時 実際に感じた事だが、チューブのわさびと生わさびの一番の違いは やっぱり香りだ。
これはわさびに限らないが、一手間かけてわざわざ手作りした時に生じる良さのうち、素人にもインスタントとの違いとしてわかりやすく感じられるのは香りなのだろうと思う。ブイヨンや和風の出汁なんかもそうだ。

しかし、動画内でもネタにしているが、あろうことかわさびを擦るのにサメ肌おろしではなくすり鉢を使ってゴマの香りを付与するという大失態を犯している。この時のやらかしてしまった感は結構大きかった。もっと美味しく味わう事が出来たはずだったのだ。今考えれば、普通に大根とかを擦ってるおろし金を利用した方がまだマシなクオリティになった気がする。何故すり鉢を……? これは今でもわからない。

それと、コメントなどでも指摘されているが、刺身を食べる時のわさびを露骨に醤油に溶かしている。
これは実際美味しんぼ等で読んだ事のあるネタで、昔のマナーとしてあまり良くないものとされている事は知っていた。
現在では「溶かした場合はまろやかになるので、そっちの方が好みの人は溶かせばよい」となってきているし、実際、私も直接付けるやり方よりも溶かしちゃった方が好みなのでいつもの癖でガンガン溶かしていた所はある。
しかし、せっかく生わさび初体験なのだからより純粋に香りを楽しむという意味で、ここは溶かさない方がベターだったようにも思う。
それとそもそもそういうマナーが出来た背景には「醤油に溶けたわさびは見た目がイマイチ」という結構わかりやすい根拠があったりする。
一応料理動画なのだから、多少は映えを意識するという意味でも溶かさない方が良かったかな、と反省した。*8
ゴマの香りが混ざってる上にわさび擦るのが大変でそのへん投げやりになっていたのだ。動画撮影にありがちな事故ということで。

ごめんねシャルニキ

他にも遅刻カマすわダーク♂尺余りが発生するわ、色んな意味でボロボロだ。
尺余りは「ちょっと最後に右クリックして『最後のオブジェクト位置を最終フレーム』を押すだけの事を忘れるなんてあるだろうか?」と一時期思っていたが、普通に忘れた。起こらないと思ってからが事故との本当の勝負だ。
毎回ギリギリまで迷って修正を繰り返してはエンコードを始めるので遅刻とミスを連発している。これは今でもそう。
今では経験を積んで自分の限界もある程度掴めてきたが、それでも常にその限界よりほんの少し迷って遅刻している。

尺余りはプラグインを入れて常に最後のオブジェクトの位置が最終位置となるよう自動的に修正するようになったので今後発生しない。やはり技術的解決こそベストだ。遅刻癖もなんとかできないかな。遅刻しそうになったら電撃を流してくれるプラグインが必要かもしれない。

なんやかんやスパイス祭は2022年に行われた第三回まで皆勤で参加してるが、全ての動画について「遅刻orギリギリ」「なんかデカめにミスってる」「スパイス料理の祭りにトンチで挑もうとしてる」という点で一貫している。
だいぶ酷い参加者だが、イヤがられてはいないようでよかった。賑やかしになれていたのであれば嬉しい。


第四回も同じ路線でいくか華麗なスパイス料理人に転身するかは、今ゆっくりと考えているところだ。

*1:実名だろうか? メールアドレスを直接記載するのは今の感覚だとちょっと怖いが、今でいえば動画にTwitterIDを記載したりするのと同じ感覚か。そういえば2000年頃くらいまでは同人誌の奥付にリアル住所や電話番号が普通に書いてあったという話も聞く。牧歌的だ

*2:軽く調べてみたらベルギーの会社の製品みたいに書いているサイトがあって混乱したが、アメリカの本来のメーカーがベルギーの会社に買収されて完全子会社になったという事らしい。資本主義ってスゴイ。それでも今もバドワイザーとその軽量版バドライトは北米で高いシェアを誇っているようだ

*3:当時もMAD動画等を製作してる人はいたが、PCでテレビの映像や音声を取り込むのは高価な機材やソフトが必要だった気がする。マイク挿して声真似して録音する方が手軽なのではなかろうか。いや、最先端のFLASHを製作できるような人なら機材くらい持ってるものだろうか?

*4:みたいだよね、と言われても「ひょっこりひょうたん島」はWASABIより更に30年以上前の作品だから伝わるわけないだろ。今も再放送されてたりするのだろうか?

*5:昔は「よくわからんけど英語喋ってるんだろう」と思っていたし実際英語っぽく聴こえるが正直いまだになんと言ってるかはわからない。最後らへんで"ah TRUE TRUE"と言っている事だけはわかる。元ネタのCMがそうだからだ。

*6:今でこそ「ルーを使わずスパイスだけでカレーを作るのも案外難しくないな」と思えるくらいにはなったが、当時はクローブとクミンの違いや使い所すらわからなかった

*7:もう少し詳細を言えば、新島先生の立ち絵は相当無茶な加工をされている動画がいくつもあり、しかもそれらを先生本人が好意的にマイリスしてたりTwitterで言及してたりするので、悪意さえなければ許容範囲広めの方だと感じ、甘えさせて頂いた形になる

*8:現在の私の動画もロクに映えてない事には目をつぶって欲しい

なるほどね

というのも、まとまった文章を書きとめる場所が欲しかったのだ。

元々書きたい事が沢山ある方ではなかったけれど、動画投稿なんかを始めたせいでアウトプットの悦びを知ってしまったのが運の尽きだ。
やりたい事は沢山ある。ただ、とりあえず今出力したいのは文章だ。文章を置ける場所を用意しよう。
こうしてブログを始める事となった。ちょうど新年でもあるし何か新しい事を始めるには良い時節なんだろう。

Twitterでいいんじゃないの

これまでの文字情報の出力先はTwitterだったのだが、いくらか満足出来ない点が出てきた。

  • 書ける文字が少なすぎる
  • 人が多すぎる
  • 流れが速すぎる
書ける文字が少なすぎる

Twitterの1ツイートは140文字、日本語で一息で読める文章を書くには丁度いいサイズだ。
推敲せずにダラダラと書けばすぐに文字数に引っかかるので、1ツイートで済ませようとするならある程度要点を整理する必要がある。
私なんかは140文字パンパンに情報を詰め込んで書きがちである。

更に言えば、ツイートとしての美しさという点を考慮すると実質的にはもうちょっと短くなると感じる。
画像も動画も無しの文字だけで輝くキレがいいツイート、パンチラインというのはしばしば50文字にも満たない。短文ツイートとエアリプを連発し、ほどほどにRTをするタイプのアカウントを見かけると「こなれたツイ廃だな」という印象を受ける。
こなれたツイ廃は同じトピックに対する発言であってもツリーを繋げたりなんかしない。なので過去のツイートがRTされてきたり検索で1ツイートだけ引っかかったとしても前後の文脈が即座にわからない事も多い。しかしTwitterはそれでいいのだ。文脈のわかりづらい曖昧な情報の流れに身を任せる。ツイ廃の粋である。

しかし私は出来る限りは文脈を残したい、という気持ちを持っている。何故文脈を残したいのかは自分でもわからないがとにかくそう思っている。
なのでTwitterで140文字ギリギリの独り言をツリー形式で3,4ツイート繋げたりする始末である。特別に語りたい情報量の多い出来事があったとか学者や記者がまとめた情報を連ツイしてるというならともかく、私は単なる独り言で頻繁にそういう事をやる。無粋だな、と感じる。*1
「そういうのはブログにでも書けばよい」と前々から思っていた。ようやくそうする事にしよう。

人が多すぎる

Twitterは1つのサービスの中に巨大なネットワークが形成されており、本当に全然繋がりのない人にもうっかり発言が届いちゃったりする。
拡散力という点では強力無比な特性だが、これは同時にリスクでもある。
簡単に言うなら炎上のリスクだが、たとえ炎上とまでいかなくとも「文脈を共有していない無数の人に見られ、突然いっちょ噛みされる」というのは、これは正直言って結構苦手だ。かなり苦手だ。

敵対的な反応をされて嫌な気持ちになるのは大抵の人がそうだろうが「ピント外れだが謎に友好的」というのもそこそこ不安なものだ。*2
人が増えれば増えるほど、拡散先が私から遠ければ遠いほどそういうのは増える、ように観測される。

動画投稿者などやって、観てくださる方・Twitterをフォローまでしてくれるような方も増えた。
投稿を通じて、友人と呼びたい人(私は友人と思っている)も増えて、そういう人達に結構なフォロワーがいたりする、みたいな繋がりも増えた。*3
それ自体は光栄で、ありがたく、反応があるのはやっぱり嬉しいことだ。

けれど最近は怖くもある。
フォロワー1,000は自慢するほど多くはないが、無視出来るほど少なくもない。
そもそもicalo35は本来、動画投稿者や発信者として作られたアカウントではなく、大した主義主張や党派性もなく、インターネット上に置いたしょうもない一個人の人格である。概ねリア垢である。
リア垢な上に10年以上イカロをやっているため、リアルの私の人格とほとんど完全に癒着している。
アイコンを見れば鏡を見た時のように「ああこれは私だ」と認識する。
そして、一応作品として覚悟して出している動画と違って、ツイートは幾分垂れ流しなのだ。

今後も動画投稿を続けていきたい以上、一旦どこかで人格を区切らないとおかしくなる気がした。
このブログは その整理の第一歩だ。

流れが速すぎる

Twitterの速報性は凄まじく、話題の消費速度は尋常ではない。
継続してネタが提供され続けない限り、大抵は半日もせず語り尽くされてしまう。
個人のレベルで深掘りし続けている人はいるものの、多人数のクラスタで1週間も持続する話題はほぼ存在しない。*4
しかし異様に同じ話題を繰り返したりもしており、仮にTwitter民を個人として擬人化したらほとんどヤバいお爺ちゃんである。

すぐ忘れるのと同じ話を繰り返すのはコインの裏表であり、これは結局、情報がストックされにくいこと、流動的すぎる事が原因なのだろう。
これは個人的な好みもあるが、情報は深掘りされ、整理され、ストックされていった方がよいと私は感じている。

技術がどれだけ発達しても、人間の認知速度はそれほど変わらない。
情報があふれても、丁寧に理解を深められる物事の数には限界がある。
話題にただ反応するだけではなく文脈と思考を積み重ねていく方がきっと楽しい。
この方が私の性に合っているんじゃないか? 本当に今更の気付きだった。

何を書く予定か

ダラダラと書いてしまったが、Twitterでもこんなもんだからまあいいだろう。
こういう目的意識は一応あるのだが、ぶっちゃけこのブログは大して面白くも有意義にもなりそうにないし、そうしたいとも思っていない。
ネット上に公開して誰でも見られる状態にはするが、しかし基本的には動画より過疎っている方が嬉しい(動画は面白くしようとは思っているのでちょっとくらいは観て貰った方が嬉しい)
なのでTwitterや動画からリンクを張ったりとかはとりあえずやめておこう。
すぐ飽きて更新止まっても恥ずかしいしね。

書いていくのは、ちょっと考えた事とか、個人的な日記とか、投稿した動画の裏話とか、没ネタとか、技術的なメモとかにする予定だ。
つまり大半はしょうもないのだが、技術的なメモだけは「困った時に検索して引っかかった知らん人のブログ記事の内容に助けられた」みたいなタイプのアレにしていきたいものだ。


インターネットに触れて「創作をしている人は素敵だな」とぼんやり憧れたまま何もせずイカロになるまで10年以上かかった。
イカロになってから、動画を投稿し始めるまでにも10年かかっている。
すべての日記を書き終えるまで、あと何年?

大切な事は ゆっくりとしか変えられない。本当に、私の場合は。

*1:何が"粋"か、という規範は強く持っているのに、自分自身でそれを実践しようとしないという精神性にも少々疑問がある

*2:この文を読んで「自分はピント外れた事を言ってないだろうか」と不安になれるようなタイプの人は問題無い

*3:単純なフォロワー数から計測しづらい間接的な拡散力の増加を意味している

*4:この点、放映中のアニメや連載漫画、ソシャゲは供給が定期的にあるので強いよね